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盛岡で村上弘明さんが舞台あいさつ 「対話で地域コミュニティー守って」

「岩手の皆さんは温かい」と笑顔を見せた村上さん

「岩手の皆さんは温かい」と笑顔を見せた村上さん

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 岩手県出身の俳優・村上弘明さんが出演する映画「車線変更~キューポラを見上げて~」の舞台あいさつが10月1日、中央映画劇場(盛岡市大通1)で行われた。

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 同作品は埼玉県川口市が舞台。鋳物工場の息子でオートレーサーの主人公・野平幸助は練習中の事故で障がいを負う。賞金王という夢を失って一時は絶望した幸助が、さまざまな壁を乗り越えながら新たな目標に挑戦する物語。幸助役を平田雄也さん、幸助の父親役を村上さん、母親役を岡江久美子さんが演じる。

 2019(平成31)年2月にほとんどの撮影を終えていたが、その後、新型コロナ禍の影響を受け、編集と仕上げの作業が中断。再開の目途は立たず、追加費用の発生、完成前にメインキャストの岡江さん、鋳物職人役の隆大介さんが急逝するなど予期せぬ事態が相次いだ。加えて、本来は主人公が東京パラリンピックを目指すという物語も、大会の閉幕を受けて変更を余儀なくされた。

 映画の完成と公開が危ぶまれる中、川口市の市民や団体・企業が「映画を埋もれさせてはいけない」と立ち上がり、試写会やクラウドファンディングを行うなど協力し、追加撮影と編集を経て、昨年の秋に映画が完成。宣伝費も限られる中、村上さんが「宣伝隊長」となりSNSなどを通じて映画の紹介を続け、村上さんの出身地である岩手での上映も決定した。

 舞台あいさつには村上さんと、同作品のエグゼクティブプロデューサーを務める国枝秀美さんが登壇。国枝さんも出生地が現在の奥州市前沢で、幼い頃は何度も訪れていたという。国枝さんは「先が見えない疫病禍の中で、何もできずにいた3年間だった。岩手での上映は希望の光」と話した。

 村上さんは「地域独自の文化を守ろうという気質が、盛岡の市民性と岩手の県民性としてあると思う。その部分が川口市の皆さんが持つ『誇りを持って地域づくりをしよう』という熱意と共通する部分がある。岩手に即した映画だと感じる」と話した。

 映画の登場人物はそれぞれにさまざまな問題や悩みを抱える。「この映画は家族と地域の再生の物語。人はいつでもやり直せる、車線変更ができる」と村上さん。「差別や偏見を完全になくするということは難しいが、相手を理解しようという気持ちがあれば少なくすることはできる。そのために顔と顔を合わせて話すことが大切。対話することで地域のコミュニティーを守ることにもつながる。その大切さを描いた作品なので、皆さんの声で多くの人へとまた広めてもらいたい」と観客へ呼びかけた

 上映は今月12日まで。1日1回上映予定。スケジュールは中央映画劇場のウェブサイトなどに掲載する。

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