廃棄・非活用素材を活用した製品開発やサービス提供などに取り組む「LOSS IS MORE」(紫波町)が8月7日、生花店「田村フローリスト」(盛岡市青山2)が提供する廃棄花を使ったクラフトジン「LOSS IS MORE GIN」を発売した。
同社最高経営責任者(CEO)の小川翔大さんは2019年に紫波町へ移住。街づくり事業や飲食店の経営、町内の温浴施設の立ち上げなどに関わってきた。その中でまだ使えるのに廃棄される素材や活用されない素材「ロス材」に興味を持ったという。
そこで、ロス材についての課題を抱える事業者「LOSSパートナー」と、優れた技術を持つ他の事業者「MOREパートナー」を結び、商品開発やサービスの企画を行う「LOSS IS MORE」を今年3月に発足。同社がLOSSパートナーから廃棄・非活用素材を買い取り、MOREパートナーと共に企画開発や製造を行う。小川さんは「廃棄はどうしても出てしまうもの。それをどうにか最小限に抑え、収益につなげるために、ロス材を使った新しい事業を立ち上げたいと思い準備を進めてきた」と話す。
第1弾の「LOSSパートナー」として手を組んだのは、以前から交流があった「田村フローリスト」。同社社長の田村正道さんから「廃棄する花や空スペースを活用して何か事業ができないか」と相談を受けていた小川さん。社員のアイデアから、花の香りを生かし、香りに特徴のある蒸留酒「ジン」に使う植物素材としての活用を提案した。
今回使用するのは、カーネーションとバラ、ユリの3種類。カーネーションは、母の日に需要が偏り、母の日が終わると大量に廃棄されてしまうという。バラとユリはブーケなどに使う花として人気がある一方、恒常的に廃棄が出てしまう側面もある。MOREパートナーとして、未活用素材を使ったジンを生産する「エシカル・スピリッツ」(東京都台東区)を迎え、3種類の花を材料に加えたクラフトジン「LOSS IS MORE GIN」を共同開発した。
同商品は強い花の香りが特徴。「両手いっぱいに花びらをすくって、顔をうずめたような香り。気泡と共に香りが立ち上る炭酸割りがお勧め」と小川さん。発売後から好評を受け、香りを楽しむためにストレートでじっくり楽しむ購入者も多いという。
小川さんは「どうしても寿命がある花を消費期限がない蒸留酒に変えることで、新しい形や価値が生まれて長く愛してもらえると思う。ロス材はさまざまな可能性がある。発想の転換でより良いものに生まれ変わらせることができれば」と意気込む。
価格は375ミリリットル瓶=3,850円。「LOSS IS MORE」と「エシカル・スピリッツ」のオンラインショップで取り扱う。