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南部家第43代当主・利淳の木版画展示 作品を通じて利淳に触れて

陰影が印象的な木版画が並ぶ

陰影が印象的な木版画が並ぶ

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 もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)で現在、テーマ展「シロクロトシアツ-伯爵・南部利淳の木版画-」が開かれている。

利淳の略歴と写真を紹介するパネル。リラックスした様子や楽しげな表情の写真も

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 南部利淳(としあつ)は、最後の南部藩主・南部利恭(としゆき)の次男として1884(明治17)年に誕生。兄・利祥(としなが)がいたため家督を継ぐ予定はなかったが、利祥は日露戦争で戦死し、急遽、利淳が第43代南部家当主となった。利淳は生前から多趣味な人物として知られ、絵画や彫刻、書道、和歌など芸術分野の趣味にもたしなんでいたという。

 テーマ展として利淳の木版画を取り上げるきっかけとなったのは2年ほど前、担当学芸員の福島茜さんが収蔵資料の中から利淳の版画を見つけたことだった。近代美術に関する資料を探していた福島さん。リスト上には作者不明の版画として登録されていた作品を確認したところ、利淳のサインがあり、本人の作品であることが分かった。

 「作品が収蔵されたのはかなり前のことで、当時は美術に詳しい学芸員がいなかったのも作者不明になっていた原因だと考えられる」と福島さん。同館では江戸時代の盛岡藩主南部家や盛岡藩などに関連する資料を展示していることから、近代の南部家当主についての資料を紹介する機会は少ない。福島さんは「素晴らしい作品ばかりなので見てもらいたいという思いと、これをきっかけに利淳公についても紹介したいと考えた」と話し、テーマ展を企画した。

 展示するのは利淳の木版画作品約20点と没後に刊行された遺作集「おもかげ」。自分の横顔をシルエットで表現した自画像や風景、動物など、黒の一色刷りを基本とした陰影が印象的な作品が並ぶ。利淳について解説するパネルや写真も用意し、人物や略歴を紹介する。

 利淳が版画を制作していたことを示す資料はほとんど見つかっていないという。遺作集「おもかげ」には版画がいくつか掲載され、目次には同書の装丁や挿絵は利淳の作品から選ばれていることが記載されていることが、利淳の版画制作の記録にもなっている。

 福島さんは「最近は人気の漫画やアニメ作品の影響もあり、日本の近代史に熱い注目が集まっている。展示を通じて近代の南部家にも触れてもらいたい。美術作品として利淳公の版画を楽しんでもらうことはもちろん、利淳公の多趣味な面やチャーミングな面も知ってもらえれば」と呼びかける。

 開館時間は9時~19時(入場受け付けは18時30分まで)。観覧料は一般=300円、高校生=200円、小中学生=100円(盛岡市在住・就学の場合は無料)。盛岡市内在住の65歳以上は無料。9月18日まで。

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