プラザおでって(盛岡市中ノ橋通1)2階ロビーで現在、盛岡が「2023年に訪れるべき52カ所」の一つとして紹介された、米国ニューヨーク・タイムズ紙の実物を展示している。
同紙では毎年、独自の情報を基に世界各国から行くべき旅先のリストを紹介している。今年は1月12日に電子版、15日に紙面で発表された。盛岡はロンドンに続いて2カ所目として取り上げられ、市内だけではなく岩手県内外からも大きな反響が続いている。
観光案内所の運営など市内で観光に関連した事業を担う「盛岡観光コンベンション協会」へは、発表直後から取材の依頼や観光客からの問い合わせが相次いだ。誘客支援グループ室長の藤澤徹さんは「寝耳に水の大騒ぎ。とにかく何が起きているんだ、という状況だった」と振り返る。現在の観光客の様子については「盛岡駅の観光案内所では外国人観光客の利用も増えている。今回の発表は日本も驚いたという感じで、国内の観光客も増えている印象。ニューヨーク・タイムズで紹介された場所に行きたいという問い合わせもある」と話す。
ウェブ版で発表があった後、紙版も出ていることを知った藤澤さん。原物も欲しいと考えていたが、「2023年に訪れるべき52カ所」の記事は本紙とは別添えの冊子になっているため、日本で手に入れる方法は限られていたという。海外のオークションサイトに1部だけ出品されているのを発見し、すぐに落札した。
手元に届いた後、ほかの職員からのアイデアもあり、「市民に広く公開しよう」と、同協会の事務局や観光案内所がある「プラザおでって」で2月から展示を始めた。「ウェブ版も有料なので、記事の原文を読む機会も限られていると思う。写真も美しく、たくさんの人に見てもらいたい」と藤澤さん。盛岡が掲載されたページを開き、翻訳文を書いたパネルを添えた。展示を見た人からは「どうやって手に入れたの?」という質問も寄せられるという。
同協会では紹介されたことを追い風に、観光面の整備に取り組む。現在は外国人観光客向けのポータルサイトや英語のマップ製作を進める。藤澤さんは「話題になったのはいいが、あまりにも突然のことで、外国人向けの用意はほぼ『なってもない(何もない)』状況。まずはしっかり基礎をつくらなければならない。今回の記事では盛岡市民の普段の暮らしが評価された。特別な企画やキャンペーンを立ち上げるのではなく、日常を体験してもらうことが一番であるとも感じている」と話す。
展示は3月31日までを予定している。