盛岡市都南図書館(盛岡市永井)で3月1日、「3.11東日本大震災資料展」が始まった。
岩手県を含めた東北各地に大きな被害を与えた東日本大震災の記憶を風化させないため、同館では2012(平成24)年から毎年、所蔵する震災関連資料の展示を続けている。今年は2階の閲覧室に本やDVDなど約500点を並べる。
展示場所は一般書コーナー、児童書コーナー、レファレンスコーナー、閲覧室出入り口周辺の計4カ所。一般書コーナーには小説やエッセー、実用書など、児童書コーナーは子ども向けの絵本などが並ぶ。レファレンスコーナーでは館内のみで閲覧できる資料を用意する。
閲覧室出入り口付近には同館職員のお薦め本50冊を展示。震災資料展に合わせて職員が本を選ぶのは今回が初めてだという。職員ほぼ全員が参加し、選んだ本に職員からの一言を添えて紹介している。
職員たちが選んだ本はバラエティーに富み、東日本大震災についての記録や経験談、写真集、絵本のほか、災害・防災に関する本、地震をテーマにした作品、震災後を舞台にした小説などが集まった。3月11日が「いのちの日」となっていることから、命の大切さに関する本も選んでいる。
同展担当者の菅野恵子さんは「震災から12年がたった今も、関連した作品の出版は続いている。報道関連の新しい資料は少なくなったが、小説や絵本など震災を基にしたフィクションは時がたったからこそ出せたという作家さんもいるようだ」と話す。
同じく担当者の高橋千晶さんは展示向けて10冊ほどを選んだ。「被災県の図書館として、震災関連の資料を集め続けること、資料展を開き続けることが一つの役目だと感じている」と高橋さん。「震災や災害はどうしても重いテーマなので関連本を手に取りづらいという人もいると思う。職員の紹介でどんな本か分かれば手に取りやすいのではないかと考えた。災害はいつ、どこで起きるか分からない。本を通じて改めて備えについて考えてみてもらいたい」と呼びかける。
開館時間は9時~18時(土曜・日曜は17時まで)。月曜休館。今月12日まで。