盛岡誠桜高校(盛岡市高松1)家政科2年生による「廃棄される制服の利活用案発表会」が2月28日、盛岡駅ビル「フェザン」(盛岡駅前通)で行われた。
同発表会は、フェザンが1月から取り組む「フェザンアクションプロジェクト」の第2弾として実施。同プロジェクトでは、アパレル問題やフードロス、環境など身近な問題をテーマに取り上げ、利用客や地域企業などと共に、サステナブルな未来に向けたアクションを起こしていく。
今回は廃棄される制服やジャージーの利活用がテーマ。企画に協力する「カナヤ」(矢巾)は、岩手県内の小中学校・高校の制服を取り扱う。制服やジャージーはモデルチェンジや廃校によって使い手がいなくなり、現状廃棄するしかない課題を抱える。この課題を知った生徒たちが利活用案を考え、サンプル商品の制作に取り組んだ。
発表会には24人の生徒が参加。4グループに分かれ、サンプル商品を使ったプレゼンテーションを行った。「フェザン」の藤ノ木彰店長、「カナヤ」の金谷嶺孝社長、アパレル企業「アダストリア」の高村暁穂さんが審査員を務め、グランプリを決定した。
生徒たちはぬいぐるみキーホルダーやアクセサリー、ペット用のベッド、赤ちゃん用スタイなどを提案。商品のポイントや工夫した点を説明し、審査員が「苦労した点はどこか」「アイデアを思い付いたきっかけは」といった質問にもしっかり対応した。
藤ノ木さんは「商品の完成度はもちろん、完成までのプロセスが素晴らしい」、高村さんは「制服やジャージーは誰もが着たことがあるもの。それをどのように生活に寄り添わせるのか、思い出をキーワードにしているのがとても良いと感じた」と全体を評価した。
グランプリに選ばれたのは、制服のブレザーを使ったバッグとスカートを使ったポーチ、ジャージーを使ったワッペンの「お出かけセット」を提案したグループ。制服の生地が丈夫であることに着目し、長く使える商品を提案した。ブレザーのポケットや裏地はそのまま活用し、ジャージーは元のデザインを生かすなど工夫し、特に全年齢層向けに仕上げた点も評価された。生徒らのアイデアについては、今後、具体的な活用や商品化などに向けて検討を進める予定。
金谷さんは「廃棄する制服やジャージーが高校生の自由な発想で新しい商品に生まれ変わることには驚いた。これからもその自由さを大切にしてもらいたい。皆さんのアイデアを参考にしながら今後の取り組みを考えたい」と話す。
グループのリーダー猪川絢香さんは「ギリギリまで悩み、苦労したかいがあった。再利用やリサイクルは自分たちにとって関係ないことだと思っていたが、手を動かして作ってみると私にもできることがあると実感できた。もう来年には私たちも制服を着なくなる。その時に、何か生かすことができれば」と話す。