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盛岡で「高校生が考える賢治と北海道」展 賢治の旅から北海道の魅力伝える

「修学旅行復命書」に関する展示の前に立つ札幌新陽高校の皆さん

「修学旅行復命書」に関する展示の前に立つ札幌新陽高校の皆さん

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 「もりおか啄木・賢治青春館」(盛岡市中ノ橋通1)で現在、第97回企画展「高校生が考える賢治と北海道展」が行われている。

心象スケッチ「札幌市」の複写原稿

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 同展を企画したのは、札幌新陽高校で「宮沢賢治文学を研究する会」として活動する有志生徒たち。同校で国語科を担当する高橋励起教諭が個人的に宮沢賢治について研究していることを知った生徒たちが、「若者の文学離れを何とかするために、先生と一緒に何かやってみたい」という思いから同会を立ち上げた。現在は賢治作品を通じて文学に触れるきっかけをつくろうと活動を続け、札幌市大通公園内に賢治の詩碑を建立することを目指して署名活動にも取り組んでいる。

 宮沢賢治は生涯で北海道を3度訪れているという。同展では、賢治が北海道を訪れた時の足跡や北海道と関わりのある作品についての資料を展示。「心象スケッチ『札幌市』」の複写原稿や、賢治が花巻農学校の教諭として修学旅行の引率で北海道を訪れた時の報告書「修学旅行復命書」の複写原稿、道内在住の木版画家・佐藤国男さんによる「銀河鉄道の夜」の版画、賢治の親友・藤原嘉藤治さんが所蔵していた本などが並ぶ。

 同様の内容で展示を行うのは今回が3回目。1回目、2回目は札幌で開催している。札幌新陽高校ともりおか啄木・賢治青春館は、2018(平成30)年に同校が東京書籍と共に出版した副読本「青の旅路 宮沢賢治と北海道」をきっかけに交流があり、昨年12月に「宮沢賢治文学を研究する会」の生徒らと高橋教諭が来盛し、今回の企画展に至っている。

 同会メンバーの高橋響さんは「展示を通じた対話も重視している。展示を見に訪れた皆さんと話すことで、賢治と北海道の関係、北海道の魅力について知ってもらい、そこから文学に触れる機会につながれば」と話す。

 展示する資料は生徒たちが関連する記念館などに問い合わせてそろえた。北海道の魅力が伝わる工夫も取り入れ、「修学旅行復命書」の展示パネルには賢治が訪れた場所の過去の写真と現在の写真も添えている。

 展示の見どころについて、同会の佐藤歌夏(こなつ)さんは「修学旅行復命書の中でも、札幌に来た時の話を読んでもらいたい。現在の景色と賢治が見たであろう景色を比べて楽しんで」、寺分光牙さんは「札幌市の詩は賢治と北海道を結び付ける作品なので絶対に読んで」と話す。

 高橋響さんは「岩手に来ることができて良かった。実際に目で見て、体感することで学ぶことは多い。この展示を見た人にとって何かのきっかけになればうれしい。いつか北海道に来た時に展示を思い出して、賢治もこの景色を見たんだなと感じてもらいたい」と呼びかける。

 開館時間は10時~17時。第2火曜休館。観覧無料。4月16日まで。

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