矢巾町公民館で12月26日から、同町地域おこし協力隊の岩隈淳樹さん、綾菜さんが製作した正月飾りが飾られている。
植物に関する仕事に携わってきた淳樹さんと食を仕事にしてきた綾菜さんは今年10月、夫婦で地域おこし協力隊に着任。現在は矢巾について改めて知りながら課題を見つけたり、町内で人脈を広げたりしているという。今後、それぞれの知識を生かして「植」と「食」をテーマに活動を展開することを目指している。
現在飾られている正月飾りは、クリスマスに合わせて作った巨大リースをアレンジしたもの。きっかけになったのは、矢巾に隣接する盛岡市で行われている「Waのまちもりおか『絆の輪』プロジェクト」だった。同プロジェクトには森林資源を活用して作製した「もりおか森のリース」を飾る取り組みがある。それを新聞記事で知った2人は、「自然が豊かな矢巾町でも、町の素材を使って町民の皆さんに楽しんでもらえるものが作れるのではないか」と考え、リース作りを計画した。
完成したリースのサイズは、縦2メートル50センチ、横2メートル。素材は基本的に町内で採取した木材や間伐材で、スギ・モミ・エゾマツ・コクワヅル(サルナシ)が使われている。クリスマスごろに見える月の形をイメージし、緑の部分は細い三日月の形に成形した。
「せっかく作ったのに、すぐ廃棄してしまうのはもったいないと考えていた」と淳樹さん。クリスマスの後は正月飾りにアレンジすることを提案したところ、公民館側からも快諾を得た。綾菜さんは「クリスマスとは雰囲気を変えて楽しんでもらいたい」と話す。
お正月飾りへのアレンジは26日に行い、しめ縄飾りを取り付けた。しめ縄は淳樹さんが作製。飾りを見た人からは「こんなに大きいとは」「長く楽しめるものがあると良いね」という評価も届いている。その一方、12月に入ってからリース作りを思い付いたため、2人は「時間が足りないところもあった」と笑い合い、「来年はもっと余裕をもって作り、クオリティを上げたい」と意気込む。
地域にある植物をもっと身近に感じてもらうことを目標にもしている2人。綾菜さんは「短い間ではあるが、『町内の植物を使ってこんなものが作れるぞ』というのを見てもらいたい」と、淳樹さんは「同じ針葉樹でも、種類によって緑の色が違うのも見てもらいたい。矢巾は植物にあふれる町だと感じているので、それを身近に感じてもらうきっかけになれば」と呼びかける。
展示は1月9日まで。