盛岡城跡公園芝生広場(盛岡市内丸)で10月1日、人と馬の関係を調査する研究イベント「馬っこふれあい会~農耕馬ふれあいとポニー馬車体験研究会~」が開かれる。
同イベントを企画したのは、盛岡市内で馬車を運行することなどを考える「盛岡馬車みち会議」。同会議に所属する岩手大学のプロジェクトチームが主催する。同会議メンバーの高橋大さんは観光事業者の一人として公共交通のあり方について考えていたという。その中で市内中心部を運行するコミュニティー交通のアイデアとして馬車を思い付いた。
「馬車は低速度で盛岡の景観とも合う。バスなどのほかの公共交通とも共存できるのでは」と高橋さん。「きっかけはチャグチャグ馬コ。チャグチャグ馬コ以外に馬を近くで見たり、触れ合ったりする機会は限られている。パレードに参加する馬たちが普段働く場所として馬車はどうかとも考えていた」とも。
岩手大学のプロジェクトチームには農学部共同獣医学科の宮崎珠子准教授と獣医学科学生7人が参加。学生メンバーの照井周二さんは高橋さんから馬車のアイデアについて聞き、協力を申し出た。照井さんは「岩手・盛岡って何があるのと聞かれることが多くて、面白いことはたくさんあるのに県外には伝わっていないのを感じた。その一つが馬文化と農耕馬の存在。もっと知ってもらうために馬車という手段は有効だと思う。参加する学生たちも馬に興味がある人や馬が好きな人ばかり。獣医学科とはいえ大型動物である馬と接する機会は少ない。私たちも楽しみながら関わっている」と話す。
イベント当日は、滝沢市の「馬っこパーク・いわて」で飼育している農耕馬の「伯鈴(はくりん)」とポニーの「クッキー」の2頭が参加。伯鈴との触れ合い会とポニー馬車への乗車体験を行う。チャグチャグ馬コにも参加する伯鈴は、同パークの職員によると「人懐っこすぎるくらい」の性格。触れ合い会ではブラッシングや記念撮影などをした後、参加者は伯鈴へお礼のニンジンを渡す。クッキーのポニー馬車は芝生広場周囲を一周するルートで運行する予定。
参加者には体験の前後にアンケートを取り、馬が人に与える影響や、人と会うことで馬にどんな変化があるかを調査し、今後の研究にも生かされる。宮崎准教授は「馬に触れる機会は少なくて、農耕馬は他の地域にもあまりいない。人間も馬も、互いに近づけば分かり合えることが増えてくる。馬の性質や魅力を知ってもらいたい」と話す。
高橋さんは「昔は盛岡から紫波や宮古に向かう馬車が走っていた記録もある。馬と共存してきた歴史がある盛岡で現代でも馬車運行の可能性はあると思う。もっと馬と触れ合いたいという気持ちを育てながら、議論を進めていきたい」と話す。
参加無料。参加には事前の申し込みが必要。専用フォームで受け付ける。定員は触れ合い会とポニー馬車体験の両方参加=20人、ポニー馬車のみ=28人。