紫波町図書館が8月31日に開館10周年を迎える。
同館は町内初の図書館として2012(平成24)年に開館。準備段階から関わる主任司書の手塚美希さんは「本当にあっという間の10年だった。紫波は小さな町。派手ではないけど良い図書館にしようと知恵を出し合ってきた。図書館に来ることで皆さんの暮らしが豊かになるように、うれしい時も悲しい時も本を読まなくても身を置ける居場所になればと思っている」と振り返る。
本の貸し出しを行うほか、町民や近隣地域の住民をゲストに招いたトークイベント、ワークショップ、町に関連したテーマや町の課題を取り上げる図書展示などを企画するユニークな取り組みを続けている。「図書館はいろんな情報が集まる場所。紫波町にとって人も情報源」と手塚さん。「近くにこんな人がいて、こういうことをしているよと知ってもらう、図書館が人を紹介してつながりを生むというのも役割の一つだと考えている」とも。
開館記念日は特別開館日として「10周年記念図書館誕生祭」を開催。2部制で、第1部は地元専門家と来館者が直接会話できる交流型ブース展示「つながる図書館」、第2部は同館に関わる人や利用者らが一緒に図書館について話す参加型トークイベント「これから図書館」を行う。
「つながる図書館」は同館館内と「紫波町情報交流館 市民交流ステージ」に地元専門家や愛好家がブースを設け、来館者はブースを巡って交流する。参加する地元専門家・愛好家は、紫波の歴史や観光のほか、キノコ、農業、職人、酒、バレーボール、映画、野鳥などを予定している。
「これから図書館」は「紫波町情報交流館 大スタジオ」で開催。参加者が車座になり、図書館ができて変わったことや、これからの図書館について語り合う。参加には事前申し込みが必要。図書館のカウンターと電話(019-671-3746)で受け付ける。定員は50人。
10周年の企画展示として館内の一般書フロアでは「わたしと図書館 わたしの1冊」と題し、「つながる図書館」にブースを出す専門家・愛好家を含めこれまで図書館に関わってきた人のエピソードとお薦めの1冊を紹介している。
手塚さんは「生身の人間も一冊の本。皆さんの持つ知識や、図書館との関係をたくさんの人と共有したい。私たちの仕事の一つは利用者が探している本や情報を提供すること。ただ本を置いて、それを紹介するのではなく、人を紹介できるのが紫波町図書館らしさ。これからも地域のデータバンクでありたい」と話す。
開催時間は第1部=10時~16時30分、第2部=17時~19時。参加無料。企画展示は9月29日まで。