「くらしすた不動産」(矢巾町)が7月1日、シェアキッチンとシェアリビング、会員制シェアオフィスを備えたコモンスペース「ツバメ倉庫」(紫波町)を開いた。
使われていなかった古い倉庫をリノベーションした同スペース。運営を行うくらしすた不動産は「住まいだけではなく、働く場所や地域の人と食卓を囲むような暮らしの提案をしたい」という考えを持ち、今年春には紫波町で働く人に向けた賃貸住宅「ツバメ荘」をオープン。同住宅の横にあった倉庫を今回、働く場所と人が集まる場所を備えた拠点として改装した。
名前は紫波町の鳥・ツバメにちなんでいる。住みやすい場所に巣を作り、ほとんど同じ場所に帰ってくるというツバメの習性から、「ここで生まれたものが成長して再び舞い戻り、地域に還元するように」という願いも込める。
くらしすた不動産の川村美沙樹さんは「私たちは、ツバメ荘を『地域社宅』、ツバメ倉庫を『地域社屋』と『地域社食』という造語で表している。社宅や社屋というと、企業など一定のコミュニティが持つ場所のイメージがあるが、地域の皆さんの暮らしのベースとなり、たくさんの人が関わる場所になるようにという考えでこのように呼んでいる」と話す。
シェアオフィスは会員制で、利用者が使用するデスクが決まっている固定デスクタイプ。シェアオフィスの隣にシェアキッチンとシェアリビングを備え、シェアキッチンは飲食店営業許可を取得し、イベントやミーティング、ポップアップカフェなどの会場として貸し出す。倉庫の面影を残す入り口部分はギャラリーとしても利用可能。
ツバメ倉庫の管理人を務めるのは、近隣に住む佐々木桜子さん。くらしすた不動産が発行するコミュニティマガジン「人toひと」にも携わっている。「知り合いの間でも『近くに面白い古倉庫があるよね』と話していた」と佐々木さん。「地域で暮らす人や働く人が集まれる場所が欲しいと思っていた。ここに来れば誰かいるという安心感は地域で暮らす人にとってもうれしいと思う」とも。
「地域社屋」「地域社食」という考えから、地域に開けた場所を目指す。8月6日にオープンを記念したイベント「お披露目マルシェ」を開催。今後も地域住民に向けた情報発信やイベントを企画し、関わりを深めていく。佐々木さんは「ツバメ倉庫がどんな場所で、誰がいて、何をしているのかが分かる方が、地域の人も利用しやすくなっていくと思う。倉庫として閉じていた扉を大きく開いて、気軽に集まれるよりどころのような場所になれば」と話す。
シェアオフィス・キッチン・リビングの利用は事前に見学・相談の上、予約・契約を行う。問い合わせはツバメ倉庫のSNSアカウントのメッセージ機能とメールのほか、くらしすた不動産への電話(019-658-8701)で受け付ける。