盛岡市建設部交通政策課が2月28日、JR山田線の魅力を漫画で伝える小冊子「みんな知ってる?魅力がいっぱい山田線」を発行した。
地域課題の解決やにぎわい創出を目的に、市と市民活動団体などが協働して街づくり活動に取り組む「盛岡市市民協働推進事業」の一環で発行した。同事業のうち、市が設定したテーマに基づき行う「テーマ設定型事業」として、「いわてアートプロジェクト実行委員会」との協働で制作した。
JR山田線は盛岡駅から宮古市の宮古駅までを結ぶ路線。山田町を目指して建設されたため「山田線」と名付けられている。もともとは盛岡駅から宮古駅、山田町の陸中山田駅を経由し、釜石市の釜石駅まで結ぶ路線として1923(大正12)年に開業。昭和に入ってから釜石駅までの全線が開通した。その後、宮古-釜石間は2011(平成23)年に発生した東日本大震災により大きな被害を受けたが、現在は復旧し三陸鉄道に移管されている。
市交通課ではJR山田線の利活用に向けた施策に取り組んでいる。そこで「JR山田線の利用促進」というテーマを設定し、協働事業として呼び掛けたところ、「いわてアートプロジェクト実行委員会」が漫画を使った紹介方法を提案。ターゲットを「JR山田線を知らない市民・利用したことがない市民」とし、漫画に親しみのある若い世代への周知も視野に入れて冊子の制作を進めた。
冊子には漫画4作品とJR山田線の路線図や切符などについて紹介する情報を掲載。作品はJR山田線を日常的に利用する様子や、遠出に使う様子、初めの乗車、駅の紹介、JR山田線の過去などをテーマにしている。
漫画とイラストの描き手は市の広報を通じて一般公募し、5人が参加している。漫画の構成には市といわてアートプロジェクト実行委員会が話し合い、JR山田線がどういうものなのか、どうやって乗ればいいかといったことが伝わるような内容に仕上げた。
冊子は市役所をはじめとする市の関連施設や、JR盛岡駅・上米内駅などで配布するほか、JR山田線沿線の小学校(3年生以上)・中学校へ配布。市のホームページ上でも閲覧できる。3月31日までは読者向けのアンケート調査を実施。アンケートを通じて感想も届き始め、9日現在の集計では読者の8割以上が「JR山田線を利用したことがない」もしくは「ほとんど利用したことがない」と答えているという。
「JR山田線について知らない」という回答もあり、交通政策課の担当者は「ターゲットであるJR山田線を知らない人、利用したことない人に漫画が届いていることを感じる。反響があるのはうれしい」と話す。「車移動がメインの盛岡ではなかなか汽車に乗る機会が少ない。山田線には、日常生活でも旅行でも利用できる魅力があり、漫画では利用者の目線でそれが描かれているので、自分が乗った時のイメージもしやすいと思う。まずは漫画を通じて山田線を知ってもらい、乗車のきっかけになれば」とも。