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「線香花火ナイト」今年は震災と平和に思い寄せ 原爆の火、福岡から盛岡へ

福岡へ向かう前日3月5日の魚山さん。「まずは平和の火を知り、そして考えてほしい」と話す

福岡へ向かう前日3月5日の魚山さん。「まずは平和の火を知り、そして考えてほしい」と話す

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 東日本大震災の犠牲者に思いを寄せて線香花火をともす企画「100万人の線香花火ナイト」が3月11日、開催される。

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 同企画は、「東日本大震災でお星さまになった人へ灯(あか)りを届けよう」という趣旨の下、2011(平成23)年の夏から毎年欠かさずに行われている。線香花火をともすのは、七夕の7月7日、お盆の時期で震災の月命日となる8月11日、震災発生日の3月11日の3回。7月と8月は19時30分一斉点灯としているが、3月11日は「星が見える時間」としている。東北を含めた全国数カ所に小規模な会場を設けてはいるものの、主催するNPO法人「RAY of HOPE」は「星が見える場所、その時あなたがいる場所」で点火するように呼び掛けている。

 今年は震災だけではなく、戦争で亡くなった命にも思いを寄せようと、福岡県八女市星野村にある「平和の塔」から「平和の火」を採火し、その火で線香花火を点火するイベントも実施。「平和の火」は、星野村出身の山本達夫さんが、原爆投下直後の広島の焼け跡から持ち帰った「原爆の残り火」。当初は多くの命を奪った「恨みの火」として保存されていたが、その後「平和を願う供養の火」として星野村が引き継ぎ、現在まで絶えることなく燃え続けているという。

 RAY of HOPEの魚山宏さんは昨年の夏、同企画に関わる香川県のメンバーから「平和の火」の話を聞き、初めてその存在を知り、「共に何かできるのではないか」と考えていたという。ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まり、急きょ、採火を行うことを決めた。

 魚山さんは「命を奪った恨みの火が、今は亡くなった命へ祈り、平和を願う火として燃え続けている。命を思う気持ちが形を変えて、火と共に残されている。『平和の火』を知った時、その思いをつないで、残して、伝えていきたいと感じた。それは震災に対する考えと同じ」と話す。

 魚山さんは3月6日に盛岡を出発。8日に星野村で採火を行い、岩手県内や四国や東北など全国数カ所に「平和の火」を運ぶ。岩手では「SoRa cafe feat.waffle cafe Sign」(盛岡市北飯岡)と、「涌津まちづくり協議会」(一関市)に火が届く。各会場に届いた火は灯籠などに移し、そこから線香花火へ点火する。

 「コロナ禍により会場に来るのは難しいと思う。皆さんのいるその場所で、平和の火があることや、震災と平和について考えてもらいたい」と魚山さん。「震災や戦争について『忘れないで』というのと、『伝えていく』というのは違う。どうしても忘れたいと思う人いるし、そもそも知らない人もいる。だからこそ、『こんなことがあった』と伝えていくことが、今は必要だと強く感じる。線香花火ナイトと平和の火がそのきっかけになれば」と話す。

 各会場での平和の火と線香花火の点灯は19時~19時30分を予定。

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