「盛岡大通商店街協同組合」と、市内の医療検査機器メーカー「セルスペクト」が12月20日、新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体量を調べることができる「街なか検査室」(盛岡市菜園1)を開設した。
セルスペクトは、新型コロナウイルス感染症に関するさまざまな研究事業を展開。その一方で「なかなか地域貢献ができていない」という考えもあり、模索を続けていたという。同社では、ウイルス感染時やワクチン接種後に体内で作られる抗体がどうなるかについても研究を進めていたことから、「地域住民に向けた感染防止の普及啓発につながり、有益ではないか」という点で、街なかに抗体検査室を開設するアイデアが生まれた。
同社から相談を受けた盛岡大通商店街協同組合は、「地域の力になりたい」という同社の思いに共感。同組合では新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施していたことから、商店街にもメリットがあると考え協力を決めた。同組合の内館茂副理事は「新型コロナウイルス感染症の流行は、私たちにとって未知の世界であり、人類にとって初めての経験。自分の体がどういう状態なのかを知り、生活や体を守っていくことが大切。私たちも協力したい」と話す。
検査室で使用するのは、セルスペクトと関東の大学病院などが開発した抗体検査キット。被検者は器具を使って自分自身で指先から血液を採取し、専用のテストスティックに血液を染み込ませる。その後、試薬を加えて約15分で結果が出る。抗体量は試薬を加えた後に現れるラインの濃さで判別し、抗体量はレベル1~4の4段階で示される。抗体量については「これ以上あれば有効」「これ以下だと無効」といった基準はまだ分かっていない。セルスペクトの岩渕拓也CEOによると「抗体がない、もしくは少ないからといって効果がないというわけではない」という。
検査は無償で受けることができ、成人であれば対象を限定しない。新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体量を調べるため、ワクチンの2回目接種から2週間以上経過している、もしくは少なくとも1回目の接種後の検査を推奨している。
検査室内では感染症に関する正しい情報の掲示も行う。岩渕CEOは「ワクチンの効果や、接種した後に自分の体がどうなっているのかを知り、実感してもらうことは、次にワクチン接種を受ける時の安心につながるメリットがある。今後の感染対策の参考にもしてもらえれば」と呼び掛ける。
受付時間は11時~19時。日曜・祝日、12月29日~1月3日は休み。来年1月30日まで。