住宅事業や食品事業を手掛ける「クジラテラス」(久慈市)が9月13日、岩手県産木炭を利活用したSDGs商品サービス「SUMITCH(スミッチ)」の発表会を「盛岡市産学官連携研究センター」(盛岡市上田4)で開いた。
「SUMITCH」は、県産木炭を使った浄化用木炭を定期的に利用者へ届けるサブスクリプション形式のサービス。サービスを通じて、プラスチックの削減・CO2の削減・教育面の課題解決に取り組む。課題の解決のために注目したのが、岩手が全国生産量1位を誇る木炭。木炭は吸着性に優れ、水の浄化にも使われている。
併せて、多くの人がなんらかの形でペットボトルの水を購入している側面に着目。自宅でおいしく水道水が飲めれば、ペットボトルの水を購入する機会が減り、ペットボトルを作る時に排出されるCO2やプラスチックの削減につながる。教育面では、学校でのSDGs教育が進む一方で、親世代の学ぶ機会が少ないことに注目し、子どもたちや学生が発信する場やコミュニティーづくりを進める。
木炭の利活用は森林保全にも役立つという。「SUMITCH」に使用する木炭の材料であるナラの木は再生能力があり、一定のサイクルで切ることで新芽を出す。豊かな森を守るためには、人が手入れをすることも必要なため、木を切って木炭を作り、新しい木を育てることが森林循環につながる。県内でも久慈をはじめとする県北地域は良質な木炭の生産地であることから、木炭の生産は久慈の「谷地林業」が担う。
「SUMITCH」のコンセプトは、「すべての人においしい水を」。利用者の元へ1度に2カ月分の浄化用木炭を届ける。浄化用木炭をポットに入れて水道水を注ぐと塩素などが取り除かれ、ミネラルウオーターを作ることができる。
クジラテラスの上神田正利社長は「SUMITCHができることは3つ。ペットボトルの削減、森林の保全、おいしい水の飲用。職人が作る高品質で安心安全の木炭が使えるというのも魅力の一つ。一個人が小さな積み上げをしていかなければ社会問題は解決できない。持続可能な社会づくりに貢献する、優しい行動を広めていきたい」と話す。
木炭を製造する「谷地林業」の谷地譲社長は「岩手の森に人の手を入れて、より豊かな森にしなければならない。そのためには、大きくなった木を無駄なく、いろんな形で使っていく必要がある。業界だけで解決するのは難しいが、いろんな考えや価値を持つ人とつながることで解決できる。消費者の皆さんも森の循環について一緒に考えてほしい」と呼び掛ける。
価格は2,970円。サービス開始は10月を予定。公式ホームページでメールアドレスを登録すると、サービス開始のお知らせが受け取れる。