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盛岡てがみ館でアニメにちなんだ企画展 「啄木と京助」の交流を紹介

「啄木と京助」について紹介する一角。アニメのキャラクターを紹介するパネルも

「啄木と京助」について紹介する一角。アニメのキャラクターを紹介するパネルも

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 盛岡てがみ館(盛岡市中ノ橋通1)で現在、開館20周年記念第62回企画展「啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)-啄木と京助-」が開催されている。

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 昨年春に放送されたアニメ「啄木鳥探偵處」にちなんで企画された。本来であればアニメの放送時期と同館が開館20周年を迎えることに合わせて昨年開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて延期していた。

 アニメは伊井圭さんによる同タイトルの推理小説が原作。作中では盛岡出身の歌人・石川啄木が探偵役、同じく盛岡出身で啄木と交流があった言語学者・金田一京助が助手役となり、さまざまな事件を解決していくが、実際の2人も親友であったという。同展では「啄木と京助」の生涯にわたる交流を中心に紹介するとともに、アニメに登場する文士たちにまつわる資料を展示する。

 展示は「啄木鳥探偵處」の原作やアニメに関する内容で始まり、啄木と京助の交流を出会いから盛岡中学校時代、東京の同じ下宿で過ごした時代、啄木の死後と順を追って紹介。後半はアニメに登場する野村胡堂、吉井勇、若山牧水、萩原朔太郎の4人と啄木の関係について取り上げる。展示資料は「てがみ館」ならではの書簡を中心に、貴重な原稿や写真、関連するエピソードやアニメキャラクターのデザインを紹介するパネルなどが並ぶ。

 同館担当学芸員は「啄木の死後、京助は彼の生涯について年譜を作ろうとしている。その年譜の草稿には補足情報が細かく書き込まれている。京助にとって啄木はかわいい後輩であったとはいえ、その人生をここまで細かく年表にしようとするところに、つながりを大切にしようとする思いを感じる」と話す。

 啄木や京助と同郷の文士としてアニメに登場するのが紫波町出身の野村胡堂。作中で胡堂は「頼れる兄貴分」として描かれていることから、展示では「盛岡中学校を中退して上京してきた啄木に忠告した」という実際のエピソードを紹介している。このほか、多くの文士が啄木に関する書簡や原稿などを書いていることから、啄木の「人たらし」な一面も感じられる展示となっている。

 6月にはアニメに登場する岩手ゆかりの文士を顕彰する県内4館によるスタンプラリーも始まった。同館のほか、市内の石川啄木記念館と盛岡市先人記念館、紫波町の「野村胡堂・あらえびす記念館」が対象となり、休日を中心に多くの岩手県内のファンが各館を訪れている。

 担当学芸員は「京助が啄木のことを支える様子はアニメや原作小説にも描かれているが、啄木が生きている間から死後まで京助は啄木の作品を広めようと支援を続けてきた。アニメにはフィクションの部分も多いが、作品を通じて2人の関係を知った人に『2人の交流は本当だったんだ』と共感してほしい。啄木と京助、そして文士たちの実際のつながりを知ってからアニメを見ると、違った面から楽しめると思う」と話す。

 開館時間は9時~18時(最終入場は17時30分)。第2火曜休館。入館料は一般=200円、高校生=100円、中学生以下と盛岡市に住所を有する65歳以上は無料。9月27日まで。

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