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野村胡堂の交友関係に迫る特別展 テレビアニメ「啄木鳥探偵處」にちなんで

胡堂と啄木の交友関係を示す書簡。アニメキャラクターのパネルを使って紹介

胡堂と啄木の交友関係を示す書簡。アニメキャラクターのパネルを使って紹介

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 「野村胡堂・あらえびす記念館」(紫波町)で現在、特別展「胡堂交友録 アニメ『啄木鳥(きつつき)探偵處(どころ)』と実在の文士たち」が開かれている。

展示室前に展示されたアニメの胡堂のパネル。多くのファンが写真を撮りに訪れる

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 昨年春に放送されたテレビアニメ「啄木鳥探偵處」は盛岡出身の歌人・石川啄木が探偵役、同じく盛岡出身で啄木と交流があった言語学者・金田一京助が助手役となり、さまざまな事件を解決していく。アニメオリジナルキャラクターとして、紫波町出身の野村胡堂や、後に江戸川乱歩となる平井太郎、吉井勇なども登場する。

 アニメの放送に合わせて特別展を実施する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により延期。一方で、アニメを見て来たという若い来館者も増えつつあった。同館では職員らがアニメと作中での胡堂の活躍を応援。担当学芸員は「アニメの胡堂は頼れる兄貴分でかっこよく描かれ、実際の胡堂とも似ているような雰囲気があった。胡堂の作品『銭形平次捕物控』ちなんで銭を投げるシーンが放送された日には職員みんなで盛り上がった」と話す。

 特別展ではアニメに登場した実在の文士たちと胡堂の交流関係を同館所蔵の書簡などの資料を通じ、アニメとは異なる実際の交流の様子や交友関係について取り上げる。胡堂にとって盛岡中学の後輩に当たる啄木との関係では、啄木の親友で新聞記者をしていた岡山儀七からの書簡を展示。書簡の内容は啄木を題材にした映画について胡堂が書いた新聞記事に関する感想で、「あの時代だって啄木のほんたうに畏敬した先輩はあなた様であったと存じます」と書いている。

 このほか、アニメに登場する金田一京助、吉井勇、江戸川乱歩と胡堂の交友関係を紹介。胡堂と盛岡中学での同級生であった京助の展示は、胡堂の作品を家族で楽しんでいることを知らせる手紙や胡堂の葬儀で読んだ直筆の弔辞(盛岡市先人記念館蔵)、胡堂が亡くなる直前に見舞いに来た京助が渡した書籍といった資料が並ぶ。同じ趣味を通じた交流が多かった乱歩とは短期間で何度も手紙のやり取りをしていたことから、手紙の内容をスマートフォンのメッセージアプリ風パネルに分かりやすくまとめた。

 無料のギャラリースペースではアニメのパネル展も実施。設定資料や関連記事、イラストなどをじっくり眺めることができる。同じくギャラリーでは胡堂が盛岡での思い出について書いた記事も紹介。その記事中にも啄木の名前が登場する。

 6月からはアニメに登場する岩手ゆかりの文士を顕彰する県内4館によるスタンプラリーも開始。同館のほか、盛岡市内の石川啄木記念館・盛岡市先人記念館・盛岡てがみ館が対象となる。6月15日からは同館で、胡堂の著作「銭形平次捕物控」が発表90周年を迎えることを記念した企画展の実施も予定している。

 学芸員は「アニメを見た人は実際の交流をキャラクターたちに置き換えて想像してみるというのも楽しいと思う。アニメをきっかけに胡堂を知った皆さんに実在の文士たちにも興味を持ってもらえたらうれしい。アニメをまだ見ていないという人にも、これをきっかけにアニメに触れてもらえたら」と呼び掛ける。

 開館時間は9時~16時30分(入館は16時まで)。入館料は一般=310円、小中学生・高校生=150円。月曜休館。9月30日まで。

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