プロレス団体「みちのくプロレス」は3月1日、選手らが自宅へ出張する新企画「自宅プロレス」をスタートした。
階段など間取りを生かした戦いができるのも「自宅プロレス」ならでは
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、同団体でも興行や試合の機会は大きく減った。感染症対策を万全にし、道場を会場にした「道場プロレス」を継続しているほか、県外での興行も徐々に行ってはいるが、思うようにできない部分も多い。
同団体は昨年、宅配弁当事業などを展開する「八栄堂」とコラボレーションし、所属選手らが弁当の配達を行う企画を実施。それが「自宅プロレス」のアイデアの元となった。ファンからも「観戦に行きたいが行けない」という声もきっかけになっているという。
発案者ののはしたろう選手は「特に県外のファンから『行きたいけど我慢』という声がある。感染症は自分だけではなく、家族や職場などにも関わるし、それぞれの考え方もある。自分たちも大きい声で『来てほしい』ということはできない。それなら感染症対策をしっかりした上で、みちプロを『デリバリー』すれば良いのではないかというアイデアで企画を立ち上げた」と話す。
「自宅プロレス」は文字通り、みちプロの選手らが依頼主の自宅などへ行きプロレスを行う。6畳のスペースから可能で、プランはシングルマッチとタッグプランの2種類。1試合30分から45分となる。現場で依頼主が誓約書にサインしてから試合開始。依頼主の参戦は禁止で、破損などのクレーム一切受け付けない。「何も起きないように気を付けはするが、何か起きたらごめんなさい」とのはし選手。リングアナウンサーや音響、「選手とそのままちゃんこを一緒に食べる権利」といったオプションを追加することもできる。
2月28日には盛岡市内で第1回「自宅プロレス」を開催。のはし選手とMUSASHI選手が試合を行い、家の中にある日用品や階段、キッチンなどを生かした戦いを見せた。これまでもさまざまなシチュエーションで試合を行ってきた同団体の選手ら。自宅でのプロレスについても「特に違和感はなかった」という。自宅プロレスへのモチベーションも高く、「その場にあるものを全て使える」「自分ならこう戦う」「そこで喜んでもらえる戦いをしたい」とそれぞれ意気込んでいる。
SNSやホームページで告知を行ったところ、予想以上の反響があり、同団体への問い合わせも増えているが、2回目の開催にはまだ至っていない。
のはし選手は「今このコロナ禍の中だからこそ生まれた発想だが、これから先もずっと続けていける企画。いろんな可能性を秘めていると思う。場所や試合の内容について、まずは相談してみてほしい。手指の消毒や検温、換気といった対策もしっかりして出張する。閉塞(へいそく)感がある日常が続くが、ひとときだけでもスカッとした気持ちになってもらいたい」と呼び掛ける。
価格はシングルマッチ10万円、タッグマッチ15万円(岩手県外の場合は別途交通費・駐車場代が必要)。企画の詳細やオプションなどについてはホームページに掲載する。問い合わせは同団体(TEL 019-687-2431)まで。