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岩手県立博物館が新型コロナウイルス関係資料を収集・展示 未来に歴史伝えて

現在行われている新型コロナウイルス感染症についてのトピック展示

現在行われている新型コロナウイルス感染症についてのトピック展示

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 岩手県立博物館(盛岡市上田)が現在、新型コロナウイルス感染症関係資料の収集と展示を行っている。

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 新型コロナウイルス感染症の発生以来、県内外で続けられている感染症克服に向けた取り組みをできるだけそのままの形で保存し、次世代へと継承していくために同館では関係資料の収集を開始。資料収集についての周知を行うため、館内の一角にコーナーを設けてトピック展示を実施している。

 資料収集を行う背景には、2011年(平成23)に発生した「東日本大震災」での経験もあるという。内陸にある同館では、沿岸部の被害を伝える直接的な資料がなかなか集められなかったという。同じ感染症としては1918(大正7)年に発生した「スペイン風邪」についても、流行を伝える資料が少ない。そこで、現在も続くコロナ禍の状況を、これまでの過程を含めて記録・収集し、100年後まで伝えていこうと資料の収集を行うことを決定した。

 集めている資料は「新型コロナウイルス感染症に関するもの全般」。具体例としては、事業所・組織などで作成した新型コロナウイルスに関連する通知文書や掲示、店頭で使用した貼り紙、テークアウトなど新たに生まれたサービスのチラシ、アマビエ関連グッズなどが挙げられている。そのほか、外出自粛の呼び掛けになって無人となった繁華街やドラッグストア前の行列といったコロナ禍を象徴する写真、普段身に着けているマスクの写真などの画像データも受け付ける。

 資料は同館へ直接搬入するか郵送による寄贈で、いずれも担当者への事前連絡が必要となる。寄贈した資料は原則返還せず、劣化などに伴って予告なしに廃棄する可能性がある。使用済みのマスクや食品といった、収蔵・展示環境に影響を与えるものは受け付けない。寄贈に当たっての諸注意はホームページにも掲載する。

 トピック展示には現在、新聞やアマビエグッズ、通知文書のほか、神社に置かれていた新型コロナウイルス感染症終息祈願の文章などが並ぶ。今後は少しずつ展示方法を変えながら長期継続する予定。

 同館の担当学芸員は「特にこのコロナ禍の中で一般の皆さんがどういう暮らしをしていたのかが分かるような、身の回りにあるものを届けてほしい。博物館としては、こういったものは集めるのが難しい。皆さんが使っているマスクの画像1枚でも、これから先の未来で貴重な資料になる。まだまだ終息が見えない中なので、今すぐではなく、役目を終えたものについて寄贈を検討してもらえれば」と話す。

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