岩手県と青森県にある南部氏ゆかりの城館・城郭が実施する企画「南部お城めぐり」に、盛岡城を含めた4カ所が新たに加わり、8月4日から「御城印(ごじょういん)」の販売をスタートした。
「御城印」は、城を訪れた記念の証しとして全国300カ所以上の城で販売され、城の名前や城主などにゆかりのある家紋などがあしらわれている。近年の「お城ブーム」により、各地の城を巡って収集するファンも多いという。
「南部お城めぐり」は昨年7月にスタート。南部氏ゆかりの城を文化財として保護するとともに、整備・活用を図るため、各城館・城郭を有する自治体や関係団体が連携し御城印の販売を行っている。御城印の売り上げの一部は、各城の維持管理や整備・活用に充てる。これまでの販売枚数は1万枚を超え、予想外の好評ぶりだという。
これまでは岩手の九戸城(二戸市)、久慈城(久慈市)、鍋倉城(遠野市)、青森の根城(ねじょう、八戸市)、種里城(鯵ヶ沢町)、聖寿寺館(しょうじゅじだて、南部町)、三戸城(三戸市)の7城で行われてきたが、新たに4城が参加。岩手からは盛岡藩主南部家の居城「盛岡城」(盛岡市)と南部領最南端の「花巻城」(花巻市)、青森から南部氏最北の拠点「七戸城」(七戸町)、北畠氏の末裔(まつえい)の居城「浪岡城」(青森市)が加わり、11城館で御城印の販売を行う。
盛岡城の御城印の題字には、江戸幕府の老中が発行した「盛岡城普請許可証」の文字を使い、家紋には盛岡南部家の定紋(じょうもん)「双舞鶴(そうぶかく)」が使用されている。
7日には各城館・城郭の担当者が「もりおか歴史文化館」によろい姿で集まりプロジェクトをPR。同館は盛岡城の御城印の販売場所となり、畑中美耶子館長は「南部氏は中世から近世にかけて広大な大地を持ち、たくさんの城もあった。11の城が連携するのは国内最大。一つ一つの城を巡り、南部の歴史をたどってほしい」と話した。
同館の担当者は「盛岡城は石垣が美しくぜひ見てもらいたいポイント。南部氏がどういう城をどれぐらい持っていたのかを知ってもらいながら楽しんで」とPRした。
「南部お城めぐり」のプロジェクトでは、各城の研究成果や地域特性を生かしたPR活動を行い、城の認知向上・観光振興・地域活性化に寄与することも目指す。
事務局を務める「八戸市博物館」の担当者は「新型コロナウイルス感染症の影響もあり、なかなか各地を巡るのは難しい。もちろん各販売施設では対策も行ってはいるが、すぐに完売するものではないので、落ち着いてから来てほしい。南部氏の城といっても時代によって違いがあり、敵・味方・同族といった背景もさまざま。南部氏の歴史の長さ、領土の広さを感じて」と呼び掛ける。
販売価格は1枚300円。