紫波町・日詰商店街で、空き家をリノベーションし若者の学びや挑戦をサポートする拠点を作る「YOKOSAWA CAMPUS PROJECT(ヨコサワキャンパスプロジェクト)」が進んでいる。
プロジェクトの代表を務める南條亜依さんは、福島県出身で千葉県の大学に在学する現役学生。2年前、インターンで紫波町を訪れたことをきっかけに町に魅力を感じ、インターン終了後も夜行バスで紫波に通う生活を続けていた。
プロジェクト立ち上げのきっかけにも、インターンの経験があるという。インターンを通じて地域住民と交流するうち、「ありがとう」と声を掛けてもらうことも多くなった。一方で、南條さんは「本当に地域に貢献できているか」「自分がやっていることに意味はあるのか」と消化不良な思いも抱えていた。そこでインターン終了後も継続して関わること、関われる環境があることが重要だと考えた。
もう一つのきっかけには、紫波で暮らし、働く大人たちの存在もあった。「紫波でやるたいこと」を伝える南條さんに対し、「やってみたらどうか」「こうしてみたらどうか」とサポートし、受け入れてくれる人が多くいたという。
「自分の背中を押して、応援してくれる大人の存在がうれしくて、こんな大人になりたい、一緒に働きたいと思った」と南條さん。「私も、自分と同じような学生や若者の背中を押したい。仲間を増やしたい。そのためには、若者同士、そして大人と若者をつなぐ拠点が必要だと思いついた」とも。
その拠点作りのため、日詰商店街内にある空き家をリノベーションしているのが「YOKOSAWA CAMPUS PROJECT」。空き家の大家が「横沢さん」だったことと、学生や若者が学び続ける場所という意味から「YOKOSAWA CAMPUS」と名付けた。リノベーション自体は2018年からスタートし、現在は地元工務店と設計を進めている。
プロジェクトを本格的に進めるため、南條さんは昨年6月にまちづくり会社「sasatta(ささった)」を設立。10月からは地域おこし協力隊としても活動している。プロジェクトに関わる主要メンバーは南條さん含めて5人で、4人の学生と1人の社会人が加わっている。学生の一人は紫波へのインターン経験もあり、全員が紫波へ魅力を感じ、プロジェクトへの参加を決めたという。
「YOKOSAWA CAMPUS」は1階部分にコワーキングスペースとイベントスペース、カフェを整備し、利用者の仕事や学びをサポート。2階部分は事業者が入るオフィスとなる。リノベーション費用は概算で500万円掛かり、そのうち150万円分について、現在クラウドファンディングを通じて支援を募っている。集まった資金は電気と水道の工事費などに使用する予定。一口3,000円から支援でき、オリジナルグッズや施設の貸し切り権利のほか、プロジェクトメンバーとの町内視察やはしご酒といったユニークな返礼品を用意している。学生限定の一口1,000円で支援できるコースもある。
施設を利用する人に向けて、インターンやプロジェクトで培った学びや経験、人脈をアウトプットすることも目標の一つ。南條さんは「YOKOSAWA CAMPUSの完成は1歩目。ゴールではなく、通過点であり、ここから2人、3人と紫波や岩手で活躍する人が生まれるサイクルを作りたい。私たちのプロジェクトに期待してもらうとともに、支援してもらえるとうれしい」と呼び掛ける。
クラウドファンディングは2月28日まで。