「雫石町役場」(雫石町千刈田)で12月16日、宮城県丸森町筆甫(ひっぽ)地区の特産品「ひっぽのへそ大根」の即売会が行われる。
筆甫地区は、住民主体に地域づくりの先進地としても知られ、雫石とは訪問視察などで以前から交流があったという。同地区は山間部にあり、台風19号上陸により土砂崩れや主要道路の寸断などの被害があり、「陸の孤島」状態にもなっていた。発災から間もなく2カ月がたとうとしているが、地区内にはまだまだ被災したままの場所が残っている。
即売会を企画したのは、雫石町の地域おこし協力隊として活動する古山裕二さん。古山さんは筆甫地区の被害を見聞きし、「どうやったら力になれるか」と悩み、歯がゆさを感じていた。
古山さんは「正直なところ、力がない自分がボランティアに行っても役に立てる自信もなく、特産品を一人で買って食べることにも限度があると思っていた。筆甫地区の現状を知ってもらいながら、支援になる方法として思いついたのが雫石での即売会だった」と話す。
「ひっぽのへそ大根」は同地区の特産品の1つ。輪切りにした大根をゆでて、串に刺してから1カ月ほど寒風にさらして乾燥させた伝統の保存食で、大根を串に刺した穴が「へそ」のように見えることから「へそ大根」と呼ばれている。寒暖差によってうま味が凝縮し、独特の歯応えがあるのも、他産地の凍み大根とは違った特徴だという。
即売会の会場にはさまざまな人が集まる「雫石役場」1階のロビーを選び、日程も利用者が多い平日に設定。役場利用者に加え職員にも広く筆甫地区のことを知ってもらうことを狙う。
18日・19日には町内の「まちおこしセンター しずく×CAN」のカフェ「Connected←connect」で、「ひっぽのへそ大根」を使った「ひっぽ ほっこり応援ランチ」(1,000円)を10食限定で提供。メニューは、大根を使ったおでんと雫石ならではのものを予定しているという。売り上げの一部は「筆甫地区振興連絡協議会」へ義援金として寄付される。
筆甫地区では12月から大根の収穫が始まり、「ひっぽのへそ大根」の生産もスタートするが、台風被害によって生産量の半減が見込まれているという。古山さんは「いろいろな被害があって、それに対する支援の形にもいろいろなものがある。買って、食べて、そして知ってもらうことも力になる。まずはぜひ味わってみて」と呼び掛ける。
即売会は12時~13時。「応援ランチ」の提供は11時から。