開運橋側の木伏緑地に整備されたにぎわい施設「木伏(きっぷし)」(盛岡市盛岡駅前通)が、9月10日にオープンした。
民間の力を借りて都市公園を整備する「公募設置管理制度(Park-PFI)」を活用した施設。コンセプトは「water neighborhood~水辺界隈(かいわい)の生活者になろう~」で、北上川河川敷と一体的に活用することを目指し、今年4月から工事がスタートし、市民から要望があった公衆トイレのほか、飲食店や芝生広場が整備された。
飲食店や管理棟が入る建物はコンテナを使い、現在は9店舗が入居。東京で東北の食材や酒を提供している「トレジオン」が東北カフェ&バルとして東北初出店しているほか、ラム専門店の「遠野食肉センター」や、コーヒー店、ジェラートショップ、居酒屋などが集まる。
プレオープンとなった9日は関係者らによるテープカットと開業記念のトークセッションが行われ、若者や親子連れなど多くの人でにぎわった。トークセッションには、市都市整備部長の高濱康亘さんや、紫波町で公民連携事業を行う「オガール」の岡崎正信さんなど5人が参加。高濱さんは「市内には管理が行き届かない都市公園が多い。木伏緑地も以前はうっそうとした雰囲気で、公衆トイレもなかった。Park-PFIを活用することで都市公園を柔軟に使いこなし、民間との連携を加速していきたい」と話した。
トークセッションの中では、木伏と同じくコンテナを使った施設や芝生広場を活用したまちづくり事例も紹介され、「芝生広場には子どもが集まり、子どもが集まれば親が集まる。顧客が変わっていけば街も変わる。木伏も盛岡の人と時間が育てていくと思う」という意見が出された。
木伏緑地のこれからについて岡崎さんは「情報がない場所に人は集まらない。本格的なオープン前からたくさんの人が集まってきているということは、ポテンシャルがあると言える。まずは使い方を限定しないこと。パブリックスペースでもあるので、多様性がある使い方が良い。お年寄りも子どもも、主婦もサラリーマンも集まれる場所になってほしい」と期待を込めた。
高濱さんは、「木伏だけが盛り上がるのではなく、ここが人の流れを作るポイントとなり、周辺へ波及効果をもたらすことに期待したい。民間にできることとできないことがあり、市にしかできないこともある。川とセットになった公園の魅力を高めながら、一体となり課題にも対応していきたい」と話した。