岩手県交通とJR東日本は6月1日から、盛岡都心循環バス「でんでんむし」で交通系ICカードの実証実験をスタートする。
岩手県交通が運行する路線バスでは、共通の「バスカード」も使えるが、読み取り機器の老朽化が問題となっている。「でんでんむし」では老朽化を理由に、5月15日でバスカードの取り扱いが終了。同様の理由で、以前から交通系ICカードの導入については検討が行われており、JR東日本の協力により、本格導入に向けた実証実験を始めることとなった。
今回の実験では、JR東日本が沿岸地域で運行している「バス高速輸送システム(BRT)」で使われているICカード「odeca(オデカ)」を導入。「でんでんむし」の車両に交通系ICカード用の車載機器を取り付け、「odeca」のほか、「Suica」を含む全国相互利用対象のICカード10種類(Kitaca、PASMO、TOICA、manaca、ICOCA、PiTaPa、SUGOCA、nimoca、はやかけん)が利用できる。交通系ICカードを利用する時は、乗り降りの際に機器にカードをタッチする。
「odeca」は岩手県交通の「盛岡駅前バス案内所」で無記名式のものを販売。価格は2,000円で、チャージ額は1,500円、500円はデポジットとなる。「odeca」と「Suica」は車内などでチャージもできる。
今回の実証実験では運用面での課題のほか、運転手側の操作やサービスの方法などについて検証。実験で得られた知見は他路線での導入に向けて活用していく。
岩手県交通の担当者は「首都圏ではすでにバスもICカードへと変わり、県内路線バスへの導入についても検討が重ねられている。県内路線バスでは今回が初の試み。検証結果を生かしてできるだけ早く導入できれば」と話す。
実験実施期間は2021年3月までを予定している。