盛岡市は関係人口・交流人口拡大を目的とした事業「盛岡という星で」プロジェクトの一環として、「盛岡という星でビジュアルブック2018-2019」を発行した。
「盛岡という星で」プロジェクトは、盛岡と継続的な関わりを持つ「関係人口」に重点を置いた事業。盛岡を1つの小さな丸い星に例えるという一定のコンセプトを持ち、盛岡での暮らしの様子や風景などをSNSを通じて発信するほか、関連イベントを開いている。2018年12月からスタートしたインスタグラムでは、フォトエッセー形式で盛岡の日常を発信。市の事業だということを前面に出さない内容で注目を集め、フォロワー数は2900人を超えた。
インスタグラムアカウントの企画・運営を行っているのは、盛岡を拠点に活動するデザイン事務所「homesickdesign」。当初はパンフレットを作製する依頼からスタートしたが、先行して情報発信の手段としてインスタグラムを活用したところ好評を得た。現在はパンフレットとは違う存在として更新を続けている。事業全体のターゲットが20代半ば~30代半ばの若者世代であることから、投稿内容はその世代が盛岡に対して感じているであろう気持ちを意識し、「いつでも盛岡の今をのぞき見ることができる」「常に新しい情報を出せる」というSNSならではの利点も生かした。
「homesickdesign」代表の清水真介さんは「エッセーの内容には若いクリエーターや学生たちから直接聞いた気持ちを反映させたり、自分が学生時代に感じていたことを加えてみたりしている」と話し、「今は誰もが気になったことを自分で検索する時代。写真に写る風景を詳しく説明しないのがポイント。盛岡の色を濃く出さないこと、何でもない日常を伝えることにこだわった」とも。
ビジュアルブックは、インスタグラムの投稿を再編集した内容に加え、関連イベントで配布し好評だった「盛岡という星に住む(かも)マップ」、簡単なキーワードのみで市内の店舗や施設を紹介する「MORIOKA HASHTAG LIST」、プロジェクト全体の紹介を掲載。インスタグラムのフォロワーが手に取ってうれしく、SNSなどを見ない人にとってはパンフレットとして機能するように仕上げた。
ビジュアルブックは4月20日から5月17日まで先行配布として、事前に申し込んだ県内在住の転入者や学生、県外在住者向けに配布。5月7日からは一般配布として市内や県外で実施する関連イベントでも配布を行う。
20日・21日にはお渡し会も実施。県外からの旅行者や帰省中という人、インスタグラムを見て足を運んだ人などが受け取りに訪れた。5月18日にはプロジェクトに関わるクリエーターらによるイベント「クリエーターズトーク」も開催し、ビジュアルブックも配布する予定。
市都市戦略室の担当者は「ビジュアルブックを手にしたことをSNSで発信してくれる人も多く、盛岡とつながりを持つことに喜びを感じる人が確実に増えていると思う。むやみに配るのではなく、欲しいと思っている人へ届くような方法を続けたい」と意気込む。
ビジュアルブックはB6版フルカラー・64ページ。先行配布の申し込みはホームページで受け付ける。先行分は先着1000部で、予定数に達し次第終了。