筆記用具のセレクトショップ「pen.(ペン)」(盛岡市菜園)は3月8日、「いわてのいいイロ発信プロジェクト」で展開される色を採用したオリジナル万年筆インク「いわてのいいイロ COLOR INK」を発売した。
「いわてのいいイロ発信プロジェクト」は、復興庁の「新しい東北」先導モデル事業の一つで、県内各地の風景や文化、工芸品などの地域資源から「岩手の色」を選定し、その色にまつわる物語と共に、地域の魅力や価値を県内外に広く伝え、次世代へ継承することを目的としている。
プロジェクトは2014年にスタート。色とネーミングと物語は一般公募で集まった候補の中から、事務局や県内外の業界関係者・関係機関によって選考。二戸市の浄法寺漆から「浄法寺 うるわしレッド」、久慈市の久慈琥珀から「久慈 アンバーイエロー」など、現在は全12色あり、色を活用した商品化のアイデアもあったが、実現には至っていなかった。
オリジナル万年筆インクの企画は、「pen.」の代表・菊池保宏さんがプロジェクトに強く共感したことからスタート。プロジェクトを広く伝えたいという思いで「何かものづくりに使えないか」と考える中、色を楽しめる商品としてカラーインクのアイデアが生まれ、プロジェクト初の商品化が実現した。インク製造は文具メーカーの「セーラー万年筆」が協力。職人の手作りのため発売までに長い時間を要したという。
今回発売したインクは、東日本大震災での津波到達ラインに沿って植えられた桜並木をイメージした「陸前高田 ゆめブロッサム」、満天の星空をイメージした「種山高原 ギャラクシーブルー」の2色のほか、初の商品化を記念したスペシャルカラーで、岩手県旗に使われている色を再現した「岩手県旗 グリニッシュグレイ」の全3色。季節感を感じられるピンク色と、普段使いしやすい青・緑系の色を選んだ。
8日に発売するとすぐに品薄、翌日には完売状態となり、現在は入荷待ちの状況だという。菊池さんは「本当に驚いた。県外からの問い合わせも多い。インクを購入する皆さんは、地域やその色に対してそれぞれ心の中にストーリーがあるのが印象的。ただインクを買うのではなく、物語に共感して選んでいるというのがうれしい」と話し、「プロジェクトが注目を浴びることにつながったと思う。色はさまざまな使い方ができる。面白いと興味を持ってもらい、小さなところから『いわてのいいイロ』を利用してほしい」とも。
プロジェクトの全12色をインクにする予定があり、インクにするのが難しい色合いは別の製品に生かす構想もある。プロジェクトメンバーの杉立修さんは「いろんな形で使ってもらいながら、岩手の色と魅力、ストーリーを全国へ、次世代へと発信していきたい」と話し、同じくメンバーの竹村育貴(なるき)さんは「プロジェクトの根本にあるのは、色のモチーフになっている文化・活動を応援したい思い。そのために、これからも発展していけるプロジェクトを目指して努力を重ねたい」と意気込む。
インクは50ミリリットル入りで1本3,240円。入荷状況は「pen.」のホームページやフェイスブックで告知する。