盛岡市肴町商店街アーケード内南側に、自由に本を貸し出す本箱「hon・ba・co(ほんばこ)」が設置された。
設置を行っているのは同商店街振興組合青年部(4S会)。4S会では、アーケード内に人が滞留する空間を作ろうと、県産材・市産材を使った木製ベンチを置く「肴町ベンチプロジェクト」を2017年から進めてきた。休憩や荷物の整理ができる場所としてベンチの利用者が増えたことから、利用者に楽しんでもらおうとベンチのそばに本箱を置くアイデアが生まれたという。「hon・ba・co」という名前は本と場所、そして「共同の」という意味がある「コーポレート」や「コミュニティー」から付けた。
本箱を設置するアイデア自体は1年前からあり、自宅などの前に本箱を置いて本を貸し出す「フリーリトルライブラリー」の活動からヒントを得たという。その後、昨年秋ごろから準備を開始。本箱の製作はアーケード内の「肴町ホームセンター」の2階にあるDIYスペース「KITENE(きてね)」で行い、ベンチと同じく県産材を使っているという。本箱は試作を重ね、現在設置しているのは3作目。箱の中が暗くならないように背面には透ける素材を使って光を入れ、雨風で本が傷まないように扉も付けた。
2月1日から「肴町ホームセンター」向かい側付近に設置を開始。絵本や児童書が入った子ども向けと、小説や専門書が入る大人向けの2台を置き、利用者は本箱から自由に本を持っていくことができ、本箱へと返却する。本は寄付で集め、返却時には読まなくなった本などを一緒に置いてもらうよう呼び掛けている。感想などを書き込めるノートも用意し、利用者同士の交流も促す。
設置するとすぐに利用があり、本も増えた。ノートには感想だけではなく運用に関する意見や要望も書き込まれている。4S会の佐々木大さんは「早速利用者がいるとは思わず驚きと共に手応えを感じる。細かなルールも含めて皆さんと一緒に考えていきたい」と話し、「本を通じて場をつくりたい、1冊の本から交流が生まれてほしいという思いを込めた。肴町と人、そして人と人を本を通してつなげたい」と意気込む。
今後は本箱や設置場所を増やしていく構想もあり、ジャンルごとにまとめた本箱の提案やイベント時の活用なども検討している。「肴町ホームセンター」社長の齋藤健吾さんは「今後の空間づくりのステップにするためにも、まずは自分たちが楽しみながら運用を続けて、チャレンジしていきたいと思う。ルールも固めすぎず、緩やかに決めていきたい」と話し、「まだ始まったばかりのプロジェクトなので、利用はもちろん、今後の動きにも注目して」と呼び掛ける。