盛岡市は現在、関係人口・交流人口拡大を目的とした事業「盛岡という星で」プロジェクトに取り組んでいる。
「関係人口を機軸とした移住・定住・交流人口対策事業」の一環。盛岡市では進学や就職に合わせ首都圏へ転出する若者が増加し、2017年度から本格的に移住・定住に関する取り組みをスタートしている。2018年度には東京圏と宮城県への転出者を対象にアンケート調査を実施。約8割の人が「転出後も盛岡と関わりを持ちたいと思っている」と回答し、首都圏で盛岡に関係する情報を求める声が多い一方、行政側から発信する情報は届きづらい環境があるという。
そこで、盛岡への移住・定住や観光を通じた交流だけではなく、盛岡に住んでいなくとも継続的な関わりを持つ「関係人口」を重点にした同事業を実施。さまざまな取り組みを行う上で、一定のイメージやコンセプトを持たせるために「盛岡という星で」プロジェクトを始動した。
プロジェクトでは盛岡を1つの小さな丸い星に例えて、盛岡での暮らしの様子や風景などを切り取り、SNSを活用した情報発信やイベントを行う。昨年12月15日にインスタグラムアカウントを開設し、盛岡の様子を写真に手書き風のロゴマークと簡単な文章を添えて紹介。初めはあえて市の事業であることを伏せて投稿を続けることで注目を集め、閲覧者の好奇心を誘った。その後、少しずつイベントの告知を行い、盛岡の冬の暮らしを描いた漫画を投稿したところフォロワーが一気に増えたという。
盛岡市都市戦略室の高橋宏英さんは「SNSの活用は首都圏の若者をターゲットにしている。最初から市の事業であることを知らせたり、イベントの告知を主体にしたりすると興味が薄れてしまうと思った。予想していたよりも反応がありうれしい」と話す。
今後は首都圏のイベントへの参加やすでに活動を行っているグループの支援、市内での体験ツアーの実施を予定しているほか、インスタグラムでの発信も活発に行っていく予定。高橋さんは「まずは盛岡について考えてもらう機会を増やしたい。そして盛岡について考えてくれている人を掘り起こし、その人たちを少しずつ巻き込みながらネットワークを形成していく。その過程では受け皿となる場所の整備も必要になってくる。盛岡の皆さんにも協力してもらいたい」と呼び掛ける。