第60回企画展「明治150年と盛岡」が現在、盛岡市先人記念館(盛岡市本宮)で行われている。
2018年が1868(明治元)年から起算して満150年を迎えることに合わせて企画されたもの。同館のほか、近隣資料館・博物館、個人などが収蔵する資料102点を展示する。
学芸員の中村晶子さんは「盛岡藩は戊辰(ぼしん)戦争で新政府軍に反発した賊軍として苦しい道を歩んできた。一方で、それを踏み台にして『賊軍』の汚名を返上しようと奮闘して、現在まで続く盛岡の街を少しずつ作り上げてきた。当時の盛岡を生きた人の姿や街の変化に注目してほしい」と話す。
展示は「4つの章に分けて戊辰戦争時から近代化が進む明治後期までの盛岡の歩みを紹介。第1章の「盛岡の戊辰戦争」では、「奥羽列藩同盟」に参加し秋田へ侵攻することを決定させた盛岡藩家老・楢山佐渡の肖像画や辞世の句などを展示するほか、敗北を乗り越えようと奮闘する人々の姿を取り上げる。第2章は「岩手県・盛岡市の誕生」と題し、廃藩置県後に誕生した岩手県と1889(明治22)年に誕生した盛岡市について紹介。初代市長・目時敬之への辞令や当時の県庁・市役所の写真などを展示する。
1876(明治9)年と1881(明治14)年の2回、明治天皇が盛岡を訪れた「明治天皇巡幸」について取り上げる第3章では、明治天皇が滞在した菊池金吾邸の写真や絵が並ぶ。第4章「盛岡の近代化」では近代化による教育や経済の発展などにより変化していく盛岡についてまとめ、盛岡で一番古い新聞とされている「巖手(いわて)新聞誌」や、「第九十銀行」の写真、当時の盛岡駅の時刻表などの資料が並ぶ。
中村さんは「明治天皇が滞在した菊池金吾邸は南大通の『賜松園』として、『第九十銀行』は『もりおか啄木・賢治青春館』として現在も街の中に残っている。皆さんの身近なところにある歴史的なものが、明治期の盛岡と結び付いているのを展示を通して知って、体感してもらいたい」と呼び掛ける。
開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は一般=300円、高校生200円、小・中学生=100円。月曜、最終火曜休館。12月2日まで。