「野菜ソムリエコミュニティいわて」が現在、コラム本「ソムリエ流菜食健美」の増刷に向けてクラウドファンディングサイト「いしわり」を通じ資金調達に挑戦している。
「野菜ソムリエコミュニティいわて」は、岩手で活動する野菜ソムリエ有志によるグループ。現在は46人の会員が所属し、県央・県南・久慈の3地区に分かれて、生活者へ野菜・果物の魅力を発信。生産者との距離を縮めようと、産地農家見学や料理教室、啓発イベントなどの活動を行っている。
「ソムリエ流菜食健美」は、岩手の野菜ソムリエたちが旬の野菜や果物をテーマに、素材の説明やおいしい食べ方、レシピなどを、農家の栽培エピソードやソムリエの思い出話を織り交ぜながら紹介するコラム。2014年に「岩手日日新聞」で連載が始まり、現在まで続いている。掲載紙の配布エリアは県南地域が中心のため、それ以外の地域や県外では読むことが難しく、「コラムを読みたい」という要望も集まっていた。それに応えるため、昨年はコミュニティー会員らが資金を出し合いコラム本を100部自費出版し、会員などに向けて配布・販売した。
本を読んだ人から「子どもや孫にも読ませたい」「図書館に置きたい」といった反響も集まり、問い合わせも多かったことから、前回の発行以降に掲載された連載分を加えて、第2版として増刷することを決めた。
コミュニティーの代表を務める高橋義明さんは「私たち野菜ソムリエも、新聞を読む人に野菜や果物の魅力をどう伝えるか勉強させてもらう気持ちで執筆を続けてきた。今回集まった反響を通じて、皆さんに向けて正しく分かりやすく伝えて、情報を届けることが野菜ソムリエの使命ではないかと思っている」と話す。
増刷するに当たり不足している資金はクラウドファンディングを通じて支援を募ろうと、8月31日の「野菜の日」にチャレンジを開始。目標金額は80万円で、集まった金額は印刷費の不足分と、支援者への返礼品、手数料に充てる。返礼品は完成したコラム本のほか、野菜ソムリエが選定する野菜セット、加工品などを金額ごとに用意した。
コラム本は支援者への配布に加え、公立図書館などへの寄付も考えているという。高橋さんは「ダイエットで食事量を減らしたり、朝食を抜いたりと食生活が変化してくる中高生の皆さんにも手に取ってもらえたらうれしい」と話し、「レシピ本ではなく、野菜ソムリエたちが野菜や果物に向き合って一生懸命書いたコラム集。気取らない、難しくない、シンプルな内容で、野菜のことがもっと好きになってもらえると思う。たくさんの人に興味を持って、協力してもらいたい」と呼び掛ける。