まちなみ景観形成事業や民泊事業などを行う「八幡創活サポートセンター」(盛岡市八幡町)が運営する簡易宿泊施設「ぶちょうほの宿盛岡」が2月から予約受け付けを始める。
同施設は八幡町番屋の隣にある元旅館の建物をリノベーションしたもの。元々は同社と「もりおか八幡界隈(かいわい)まちづくりの会」の事務所として1階を使っていたが空き部屋があり、その活用法を考えていたという。そこで民泊を利用する外国人旅行者が増えてきていることや、観光シーズンになると宿泊施設が不足する状況などから、宿泊施設としての利用を考案。昨年11月末から改装工事を始め、畳の張替や空調設備、浴室の設置などを行った。県内外からの旅行客を八幡町へ呼び込むきっかけとし、最終的には同町を含めた河南地区全体の観光活性化を目標にする。
1月には見学会も実施。周辺住民からは「家族が帰省した時に使えないか」という提案もあり、旅行者に限らない利用も考えている。同社社長の明戸均さんは「観光客の拠点となる宿泊施設は駅前や大通周辺に集中している。美しい川べりや古い街並みなど盛岡ならではの風景が残る河南地区を拠点に選んでもらうことで、駅前や大通にはない盛岡の顔を楽しんでもらいたい」と話す。
部屋は2人部屋「山車」、4人部屋の「さんさ踊り」、3人部屋の「チャグチャグ馬コ」の全3室。共同のキッチンと浴室、トイレを備える。各部屋の名前は八幡町にもゆかりがある盛岡の祭りから取った。宿の名前は「不調法」が由来で、素泊まりで管理人も常駐しないことからサービスが行き届かない不調法さを伝える意味で名付けた。
同町では空き家の活用に積極的に取り組む。今後の状況によっては、「ぶちょうほの宿」同様の施設を増やしていく計画もあるいう。明戸さんは「八幡町は飲食店も多い。素泊まりにすることで、地域の店を利用する人の流れも作り、町全体のにぎわいにつなげたい」と意気込み、「不調法する宿ではあるが、その分、地域に住む人の温かさを感じられると思う。田舎の家に帰ったような気分でゆっくり利用してもらえたらうれしい」と呼び掛ける。
宿泊料金は1人3,500円から。予約は電話で受け付ける。