拡張現実(AR)の技術を使い、スマートフォンなどの端末に宣伝用のポップを表示する、書店用ARアプリ「POPSTAR(ポップスター)」が5月19日、「ORIORI(オリオリ) produced byさわや書店」(盛岡市盛岡駅前通)で全国初導入された。
同アプリは、AR技術を使い、書店の店内でスマホなどの端末をかざすと、店員が本の内容などを紹介する手書ききPOPが画面に浮かび上がるというもの。店内に設置された発信機が端末を認識し、端末のカメラ画面に上乗せする形でデジタルデータ化されたPOPが表示される。表示されたPOPをタッチすると、書籍の著者や出版年月日、読者の感想などの詳しい情報が表示される。
アプリを開発した「雷公鞭(らいこうべん)」の角舘浩太郎社長は盛岡出身。アプリの着想はさわや書店で使われている手書きPOPからインスピレーションを得たという。角館さんは「さわや書店のポップはユニークで思いのこもった力作ばかりだが、新しい本が発売されれば古いPOPはなくなっていく。それは少しもったいない気がする。POPを保存していく技術としても活用できれば」と話す。
全国で初めての導入となった「ORIORI」のコンセプトは「体験型書店」。書籍だけではなく、CDやDVD、雑貨、文具なども取り扱い、講演会や関連イベントなどを行うイベントスペースも設ける。店舗のコンセプトとアプリの技術があっていたことから導入を決めた。
現在はAndroid版のアプリのみだが、今年の夏ごろにiOS版の配信も予定。今後は本棚の配置や書籍の位置に合わせたPOP表示や全国の書店員が作ったPOPが閲覧できるシステム、一般ユーザーがPOPを投稿できるSNS機能などの実装を目指す。
角館さんは「インターネットに投稿されるレビューは、手軽さゆえにマイナスな意見が多くなりがち。人の手で書いたからこそ店員や読者の熱、好きという思いがまっすぐ伝わると思う。POPSTARはまだまだ生まれたてのサービス。これから皆さんが使いやすく、楽しめるように進化させていきたい。ポップを通じた新しい本との出会いを楽しんで」と呼び掛ける。
公式サイトではアプリの事前登録を実施。アプリのリリースやサービス開始時に情報配信を行う。