老舗呉服店「亀半呉服店」(盛岡市肴町)が、道路に面したショーウインドーと店内のスペースを使って、古い日用品や商売道具などを展示する「亀半街角博物館」を実施している。
同企画は、同店の蔵に保管されていた古い日用品や商売道具、新聞、写真などを展示するもの。古民家をリノベーションした複合施設「十三日(トミカ)」のオープンに合わせて、周辺地域が「十三日町」と呼ばれていた時代の暮らしを感じてもらおうと企画した。これまで店内の一部で展示を行っていたが、ショーウインドーを利用して店の外に見せるのは初めての試みとなる。
同店社長の佐藤喜一さんは「十三日のオープンで、この辺りも人通りが増え、にぎわいや活気が戻ってきたように感じる。店自体も創業から120年近くなり、古いものならたくさんある。幸い保存状態も良いので、しまっておくのはもったいない。展示を通して盛岡の歴史を感じてもらえれば」と話す。
ショーウインドーに展示しているのは昭和初期に使っていた帳簿やはんてんなどの商売道具のほか、火鉢や電話機といった日用品、新聞記事、写真など当時の暮らしが感じられるもの。店内には当時の着物に使っていた布や雑誌などが並ぶ。展示を始めてからは、通り掛かった人が足を止める風景が見られ、「品を譲ってもらえないか」と依頼が舞い込むこともあるという。
佐藤さんは「蔵からはまだまだ面白いものが出てくると思う。何が展示されるかはこれからのお楽しみ」と話し、「盛岡には古くからの建物や店が残っているが、当時の日常を感じられるものが少ないようにも思う。展示しているものは、どれも日常生活に根付いた文化や暮らしを伝えるもの。この街がどのような歴史を積み重ねてきたか知ってほしい」と呼び掛ける。
営業時間は9時~19時。