石川啄木の詩集「悲しき玩具」の復刻版の売れ行きが好調だ。
同書は、盛岡市と石川啄木記念館(盛岡市玉山区渋民、TEL 019-683-2315)が10月14日に共同発行したもので、明治45年に発行された「一握の砂」の初版本(石川啄木記念館所蔵)をデジタルカメラで撮影し、画像として印刷。当時の雰囲気をそのままに「行間からも明治文学の香りが漂う」復刻版として出版した。石川啄木の復刻版シリーズとしては「一握の砂」に引き続き2作目の発行となる。初版は3,000部。
啄木の復刻版シリーズ第1弾として発行された「一握の砂」も、2003年の初版と2004年の第2版はそれぞれ1,000部、計2,000部がすでに完売。11月には第3版の発行が予定されているという好調ぶりを示している。
復刻版「悲しき玩具」も出版当初から地元メディアで取り上げられたこともあり、売り上げはまずまず。これについて同館学芸員の山本玲子さんは「県内の書店には出版時に約300部配本したが、すぐに売り切れた。その後3回ほど追加注文に対応している。正直、岩手県の人がこれほどまでに啄木に感心があったのかとあらためて驚いている」と話す。
県外からの問い合わせも多く寄せられているとのことで、「インターネットで調べて問い合わせてくる人が多い。東北6県はもちろん、新潟、関東地域、京都、遠くは山口、九州からも注文が舞い込む」(山本さん)とも。
石川啄木は1886年(明治19年)、現盛岡市玉山区の生まれ。悲しき玩具は1912年(明治45年)の没後に発行された。
復刻版「悲しき玩具」の本体価格は1,260円。「一握の砂」は2,100円。岩手県内の書店と石川啄木記念館で販売している。