
映画「宝島」の舞台あいさつ付き先行上映が7月19日、フォーラム盛岡(盛岡市大通2)で行われた。
同作は真藤順丈さんによる直木賞受賞の同名小説が原作。米国の統治下にあった戦後の沖縄を舞台に、激動の時代を全力で生きる若者たちの姿、友情や葛藤を描く。盛岡出身の大友啓史監督がメガホンを取り、妻夫木聡さんが主演を務める。
妻夫木さんは同作の宣伝アンバサダーにも就任。9月19日の公開に先立って、映画への熱い思いを一人でも多くの人に伝えようとキャラバンという形で全国各地を回り、盛岡が10カ所目となる。映画の上映後、満員の観客が2人を温かい拍手で迎えた。
「監督の地元ということで一緒に行きたいなと思っていた。念願がかなって、盛岡に来られて本当にうれしい」と妻夫木さん。2019年に舞台の盛岡公演で来盛したことにも触れ、「盛岡に来るのは6年ぶり。その時は、この辺りで出演者の皆さんと飲んでいた」と話すと、会場内からは驚きの声が上がった。大友監督も「新型コロナ禍の影響もあり、2回ほど製作が延期になった。地元の皆さんに見てもらって感無量」と話した。
舞台あいさつの中では、観客から寄せられた感想や質問を紹介。2人は映画に込めたメッセージや作品と向き合う時の思い、製作時に大切にしていたことなどについて答えたほか、大友監督は戦後の沖縄をリアルに描くためのこだわりや苦労についても話した。感想を聞いて妻夫木さんが涙ぐむ様子も見られ、それを見た大友監督が「劇場を回る中、皆さんの感想が素晴らしすぎるので、僕たちは最近涙もろくなっている」と話し、観客の笑いを誘った。
大友監督は「自分たちの考えていること、思っていることを全部詰め込んだこの作品は、今を生きる皆さんに向けたラブレターとも言える。ここにいる皆さんは大友組の観客部。皆さんに応援してもらい、一人でも多くの人に作品を届けたい」と話した。
妻夫木さんは「僕はこの映画を通じて、命はつながっていくものだなと感じた。死って終わりを意味するものと思っていたけど、その人の思いはずっと燃えていて、一緒に生きているんじゃないか、それは終わりではないんじゃないかと考えさせられた。映画は見てもらって完成するものだと思っているが、この作品については、皆さんの思いと一緒にずっと成長していくものだと感じている。これからも一緒にたぎりましょう。生きていきましょう」と呼びかけた。