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雫石駅に漬物工房完成 地域の味を守り、これからを一緒に考える場所に

漬物石をモチーフにしたロゴと漬物だるを使った看板が工房の目印

漬物石をモチーフにしたロゴと漬物だるを使った看板が工房の目印

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 雫石駅構内の「駅ナカ漬物工房SHIGORO(シゴロ)」(雫石町)で10月21日にオープニングイベントが開かれ、運営者が施設を公開した。

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 同工房を運営するのは、町内で「レンタル菓子工房utakane(うたかね)」を営み、食品分野を中心としたコンサルティング事業や、食品製造事業を手がける「OfficeSUGOROKU」。代表社員の渡辺和義さんは、食品衛生法の改正により漬物の製造・販売に営業許可が必要となったことをきっかけに、直売所で漬物を販売する人から「続けたいが許可の取得が難しく、やめるしかない」「誰かにレシピを引き継ぎたい」といった相談を受けていたという。

 「地域や家庭で親しまれていた漬物の味が失われてしまうことに危機感を感じた」と渡辺さん。これまでのコンサルティング事業の経験を生かし、漬物を作りながら今後について一緒に考える場を作ろうと、雫石駅構内で総菜製造をしていた空き物件を借り、漬物の製造ができる設備を調えて営業許可を取得し、「駅ナカ漬物工房SHIGORO」を開いた。

 工房には温度表示がある大型の冷蔵庫や、漬物を保存する貯蔵庫、商品を密封するためのシーラーなどを備え、レンタル利用者が漬物を製造できる。工房の貸し出しだけではなく、食品衛生や販売に関する相談や、目分量や感覚で作っていた部分のレシピ化、レシピを引き継ぐ人とのマッチングなどのサポートも行う。

 工房の名前「SHIGORO」は、数字の4・5・6と、日が暮れて明かりをつけ始める時間帯を指す「灯点し頃(ひともしごろ)」から取った。渡辺さんは「続けるか、やめるかの2択ではなく、引き継ぐ、残すといった選択も増やしたい」と話し、「終わり方を考える工房」を目指す。

 11月からモニター利用を始め、来年春からレンタルでの利用者を募集する予定。並行してオリジナル漬物商品「OGOGO(オゴゴ)」の販売も始め、現在は大根漬け(300円)やシイタケのピクルス(400円)などを町内の産直などで販売している。

 渡辺さんは「作る場所を貸すのではなく、一緒にやるための工房。利用者の皆さんの気持ちや考え、思い出を大切にしながら、専門的な知識でサポートしたい。これまで続けてきた漬物作りに、この先どんな道があるか一緒に考えることができれば」と意気込む。

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