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現存資料から盛岡城の実態を探る企画展 身近な史跡を深く知るきっかけに

絵図に描かれた盛岡城を紹介する「描かれた盛岡城」の章

絵図に描かれた盛岡城を紹介する「描かれた盛岡城」の章

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 もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)で現在、企画展「城の跡-残された盛岡城関連資料-」が開催されている。

盛岡城の石垣を再現したパズル。学芸員自慢の力作だという

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 さまざまな形で現存する盛岡城関連資料を通して、資料から読み取れる盛岡城の実態を探る同展。企画のきっかけは、盛岡市が2022年から今年の3月末まで、最高1,000万円の懸賞金を懸けて盛岡城の歴史的建造物の復元につながる史資料の探索を行ったことだった。

 担当学芸員の熊谷博史さんは「懸賞金制度で盛岡城に全国的な注目が集まったのはうれしいこと。復元につながる資料は見つからず、懸賞金が終了したことで『盛岡城の資料って何もないの?』と疑問に思う人も多い。現時点で盛岡城に関する資料はどんなものがあり、今後どんなものがあれば復元につながるかを知ってほしいという思いで企画した」と話す。

 展示は「描かれた盛岡城」「記された盛岡城」「残された盛岡城」の3章構成。最後には盛岡城復元調査推進室の調査によって見つかった資料も展示する。

 「描かれた盛岡城」では掛け軸やびょうぶのほか、城内の建物や門などの位置が詳細に書かれた平面図を展示。「記された盛岡城」で紹介する盛岡藩家老の政務日誌である「雑書」や「覚書」には城内の区画や部屋の名称の変更、利用状況、補修などについての記述もあるという。

 「絵画の盛岡城は建物の形をイメージしやすいが、絵によって屋根の色や形が異なっているので正確なものとは言えず、復元の根拠にはならない」と熊谷さん。「一方、政治の中心である盛岡城で書かれた政務日誌には城の内部に関する記録が多く残っているが、盛岡城の研究にはあまり活用されていない。記されている盛岡城について読み解くことは、今後の研究に役立つかもしれない」と話す。

 「残された盛岡城」では、現在も残されている石垣や内堀を写真で紹介するほか、現在修復工事が進む三ノ丸の石垣を再現したパズルを設置。盛岡城復元調査推進室による資料展示では、盛岡城と関連する寸法入り立面図などを展示する。

 熊谷さんは「盛岡城の建物そのものではないが、寸法入りの図面が見つかっているということは、同じような資料がまだ眠っていると期待できる。盛岡城については情報が少なく、研究も進んでいない。市民にとって身近な史跡でもある盛岡城について知ってもらい、これからの調査が進むきっかけになれば」と話す。

 開館時間は9時~19時(入場は18時30分まで)。入場料は、一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。盛岡市内在住・就学の65歳以上と小・中学生は無料。10月27日まで。

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