津波で工場を失った大槌町の赤武酒造が8月12日、震災後の初出荷を済ませた。
地元大槌町では明治から続く老舗の酒蔵。震災による津波で社屋や工場を失ったが、7月中旬から盛岡市新事業創出支援センター(盛岡市飯岡新田)内の貸し工場を新工場に再スタートを切った。
米を使った日本酒はこれからだが、この日は震災前から製造していたリキュール酒「Liqueur Sweets(リカースイーツ)」を古舘秀峰社長が自ら、岩手生協のベルフ青山店(青山町)に納品した。
「会社もなければ工場も商品もない。ないないずくめで一時は会社を畳もうかとも考えたが、お客さんに励ましてもらいながらここまで来た。社員は全員無事だったので、いずれ大槌町に戻って本格的に会社を建て直したい」と古舘社長。「今年の冬には、当社自慢の日本酒『浜娘』を届けたい」と意気込む。
製造設備はほとんどがリサイクル。県内の同業者から不要なものを譲ってもらうなどして整えた。「1人ではとてもここまで来られなかった。同業者ながら応援してくれた人たちにいずれは恩返しをしたい」と話す。
内容量は500ミリリットル入りで、「プレミアム山ぶどう」「ミルキーヨーグルト」「みかん」の3つのフレーバーを用意。価格は各1,280円。スーパーなどで販売する。