南部せんべい製造の大手「岩手屋」(二戸市)は12月4日、せんべいとチョコレートを組み合わせた新商品「チョコ南部」を発売した。同日、盛岡市内で開いた記者発表で明らかにした。
南部せんべいを細かく砕き、チョコレートでコーティングしたもので、いわゆるチョコクランチに近い商品。いったん焼き上げた南部せんべいをあえて砕いてから商品にした例はこれまでになく、業界初という。商品化には、同社系列の洋菓子店「タルトタタン」(盛岡市八幡町)がかかわった。
南部せんべいには最も人気の高いピーナツ入りタイプ、チョコレートにはカカオバター以外の代用油脂を使用しない国際基準をクリアしたピュアチョコレートを使用し、食べると控えめな甘さの中にピーナツの風味が口の中に広がるのが特徴。
新商品の開発のきっかけは、近年の南部せんべいの消費落ち込みにある。「特に若い女性や子どもたちが南部せんべいを全く食べなくなってしまった。なんとか消費を促したいと考えたのが、年間4,000億円の市場といわれるチョコレートのマーケットだった」と同社商品企画の担当者は明かす。ちなみに南部せんべいの市場は50億円程度という。
会見では、南部せんべいにこだわる経営陣と新たな市場開拓に燃える商品企画側との攻防も垣間見える。席上で小松務社長は「1年前に提案された時は(せんべいを砕いたことに)大反対した(笑)。焼いたせんべいの形にはこだわりたかったが、これも時代の流れ」と話す。「でも、やはりこれは南部せんべい。販売チャネルもせんべいにならうが、あとは販売店にまかせる」(営業担当者)とも。
価格は3粒入り=148円、10粒入り=525円。岩手県内の駅、空港、高速道路などの売店、スーパー各店、一部コンビニエンスストアでも販売する。