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岩手県立博物館で「ネイチャーポジティブ」のテーマ展 自然の回復目指して

岩手に住むチョウの標本がずらりと並ぶ第1章

岩手に住むチョウの標本がずらりと並ぶ第1章

 岩手県で絶滅が心配されている生物を解説する「いわてレッドデータブック」が2025年に更新されたことから企画した同展。担当学芸員の渡辺修二さんは「減っていく生き物だけを取り上げると、最後にはなんだか悲しい気持ちになり、気がめいる展示になってしまう。どうにか明るい展示にできないかと考えていた」と話す。そこで、生物多様性の減少を止めて回復させる世界目標「ネイチャーポジティブ」に着目。県内に生息する生物や絶滅が心配されている生き物を紹介するとともに、自然の回復に向けた取り組みを紹介する展示とした。

イヌワシなど「いわてレッドデータブック」掲載の生き物について触れる2章

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 展示は4章構成。1章では、岩手で絶滅した種を含め県内各地に生息する120種以上のチョウの標本を展示し、環境の違いや分布を通して、生物多様性について解説する。「生物多様性というのは、生き物がたくさんいれば良いということではない」と渡辺さん。「平地や丘、山、川、湿地、とさまざまな環境があると生物の種類が少しずつ異なり、同じチョウでも大きさや模様が少しずつ違う。このように環境や遺伝によって多様性が広がる。人の手が入らない深い森や高い山があることも、人が整備する牧草地や里山があることもどちらも大切」と話す。

 2章では「いわてレッドデータブック」に掲載されたイヌワシやカワシンジュガイを始め、岩手に生息する動植物、昆虫が直面している危機を紹介。風力発電施設などの再生可能エネルギー施設やダム、堤防などが生き物に与える影響、シカの激増によって数が減った植物や昆虫、人の手が入らなくなったことで起きる変化、愛好家の採集や熱心な撮影といった活動の影響を受ける生き物、外来生物の存在について取り上げる。

 3章と4章は「ネイチャーポジティブ」に関する取り組みや、県内での環境保全活動を紹介。企業と住民と行政が互いに協働して取り組む実践事例やその成果について解説する。4章の最後には岩手の自然を記録してきた先人たちの調査ノートや道具を展示。来場者に向けて、日常の中で「自然を見守る目」の役割があることを呼びかける。

 渡辺さんは「再生可能エネルギーの活用や防災のための設備も、生物多様性の保全も、どちらも人類の存続に必要なもの。2つが両立する道はあると思う。展示を見て、希少な生物の減少を悲しむだけではなく、回復を目指す取り組みがあることを知ってもらい、自分にもできることがあるぞという明るい気持ちで帰ってもらいたい。これからの時期、散歩しながら岩手の自然に目を向けて」と話す。

 開館時間は9時30分~16時30分(入館は16時まで)。月曜休館(祝日の場合は翌平日)。入館料は一般=360円、学生=170円、高校生以下無料。5月24日まで。

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