もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)で現在、テーマ展「干支(えと)コレクション-午(うま)-」が開かれている。
同館では年末年始に合わせ、翌年のえとに関する資料を展示する「干支コレクション」を行っている。毎年、担当学芸員がえとにちなんだ資料を収蔵庫から探しているが、えとによっては資料の数が少なく、苦労する年も多いという。2026年のえとはうま。同館に収蔵されている資料の大部分は盛岡藩主を務めた盛岡南部家に伝わるもので、盛岡藩は馬産地として知られていたため、馬に関する資料は多い。
今年の担当者・小原祐子さんは「南部と言えば馬ということで、今年は資料がありすぎて、限られた展示スペースにどの資料を出すのか悩んでしまった。名馬の産地として、大名家などへの贈り物に馬が献上されていた記録もある」と話す。
展示は「馬を愛(め)で、祈る」「馬を知り、育てる」「馬と南部家」の3つのテーマを設けた。「馬を愛で、祈る」のコーナーでは、農耕馬に感謝し無病息災を願う行事「チャグチャグ馬コ(うまっこ)」などに関連する資料を展示。大正~昭和期のものとされるチャグチャグ馬コの装束や、チャグチャグ馬コを模した盛岡人形、馬がモチーフの鋳鉄製の灰皿などが並ぶ。
「馬を知り、育てる」のコーナーでは、南部藩にあった9つの藩営牧野について紹介。藩の北部にあり9つの牧野の中でも最大規模だった「木崎の牧」の様子も描かれた「御旧領名所図巻」や、9つの牧野を描いた「南部九牧図」から「木崎野」の図、98種類の馬を毛色によって描き分けた「百馬之図」などを展示する。
「馬と南部家」のコーナーでは、うま年生まれの藩主として、初代・南部信直、3代・重直、5代・行信、6代・信恩の4人を紹介。「毎年1人か2人なので、4人もいるのは珍しい。これも馬産地だからかな、と思ってしまった」と小原さん。馬術の免許状や、行信が創始した馬術についての書物、11代・利敬の愛馬「千歳」の名前が出てくる文書など、藩主として馬術をたしなんでいたことを示す資料を展示する。
小原さんは「今も昔も、馬は盛岡にとって身近な動物。改めて盛岡と馬の関係を知ってもらいたい」と話す。
開館時間は9時~18時(入場受け付けは17時30分まで)。観覧料は、一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。盛岡市内在住・就学の小中学生と市内在住65歳以上は無料。第3火曜(祝休日の場合翌平日)、12月31日、1月1日休館。2月16日まで。