トピック展「緊急企画!ツキノワグマってどんな動物?」が現在、岩手県立博物館(盛岡市上田)で開催されている。
今年は盛岡市内をはじめ、岩手県内、東北、北海道などを中心に各地でクマの市街地出没や、人身被害が多かったことから企画した同展。地質や生物など自然史系の資料を展示する「いわて自然史展示室」の一角に特別コーナーを設け、同館が収蔵するクマの剥製などを展示した。
同館では2009(平成21)年に岩手のシカとクマをテーマにした企画展を開催。今回のトピック展を担当する学芸員の鈴木まほろさんは、2009年の企画展も担当していた。鈴木さんは「当時は街中にクマが出没することはなく、10年以上が経過するうちに様子が変わってきたんだなというのを実感している」と話す。
展示しているのは、ツキノワグマの成獣の剥製のほか、生まれて間もない赤ん坊と、生後数カ月と生後10カ月程度の子グマの標本。体格を比較するためにヒグマの成獣の剥製も並べ、ツキノワグマの成長の速さや、種類による体の大きさの違いも比べられるようにした。
壁面には岩手県が作成したクマに関する注意を呼びかけるパンフレットも掲示。クマに遭わないための対策や、遭遇した時の対策について紹介している。
同館周辺ではツキノワグマの目撃が相次ぎ、徒歩で通勤している職員はクマよけの鈴を持つなど対策を行っている。同館の駐車場でも1度だけ目撃情報があったという。施設は雑木林に囲まれているため、センサーカメラも設置しているが、クマの姿が映ったことはないという。
鈴木さんは「街に出てくる身近な動物になってしまった今こそ、クマのことをもっとよく知る機会が必要。人間もクマも出合えば互いに慌ててしまうが、知ることで対策できることもたくさんあると思う」と話す。
開館時間は9時30分~16時30分(最終入館は16時)。月曜(祝休日の場合は翌平日)、12月29日~1月3日休館。入館料は一般=350円、学生=160円、高校生以下無料。トピック展は来年春まで開催予定。