
「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025」の男子ハンドボールにゴールキーパーとして出場する矢巾町在住の水嶋貴一選手が10月20日、高橋昌造町長を表敬訪問した。
デフリンピックは聴覚障害がある人のための国際スポーツ大会で、「国際ろう者スポーツ委員会」が主催し、4年ごとに開催している。日本での開催は初めてで、今年は100周年の記念大会となる。11月15日~26日の12日間、東京を主会場に世界各国の代表選手が、陸上競技や球技、水泳など21競技を繰り広げる。
水嶋選手は矢巾中学校時代にハンドボールに出合い、当時同校でハンドボールの指導を行っていた教員から「耳が聞こえないなら、デフハンドボールを目指してみたらどうか」「ゴールキーパーをやってみるのはどうか」と勧められたのがきっかけでゴールキーパーのポジションを選んだという。現在は東京の社会人チームに所属し、岩手と東京を行き来しながら練習を重ねている。
この日は水嶋選手が家族と共に矢巾町役場を訪れ、「ハンドボールと出合い、その面白さに気付いてから10年ほど続けてきた。デフリンピックまであと1カ月ほど。ハンドボールを始めたばかりの時の楽しかった気持ちを大切に頑張りたい」と意気込みを伝えた。
同町は誰もがいつでも、どこでも、いつまでもスポーツができ、心身共に健康で幸福な人生を送る町を目指して2019(平成31)年に「スポーツのまち やはば」を宣言している。高橋町長は「矢巾町には、東京2020オリンピックのカヌー競技に出場した水本圭治選手、パラリンピックに2度出場したスキーの髙橋幸平選手がいる。それに続いて、デフリンピック代表選手が出たのは『スポーツのまち』として誇りであり、誉れ高い。頑張ってほしい」と激励の言葉を贈った。
当日は矢巾町ハンドボール協会の工藤眞理子さんも出席。「ゴールキーパーは守護神。いろんなところからボールが飛んでくるので、けががないように。世界の舞台で楽しんできて」と伝えた。
ハンドボール日本代表がデフリンピックに参加するのは今回が初めて。「相手チームの戦略や選手の体格などの情報がほとんどない状態だが、予選ラウンドで当たるドイツは前回大会2位で強いというのは分かっている」と水嶋選手。「いつも通り楽しくやること、一生懸命やることを大切にして、まずは1勝したい。一番の目標はメダルを取ること」と意気込む。
東京2025デフリンピックのハンドボール競技は11月16日に始まり、日本代表は同日10時、トルコとの予選ラウンド初戦に臨む。