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盛岡ピカデリーで「ありがとう上映」始まる この場所を愛する人へ感謝を ▽写真キャプション

10月26日で閉館する盛岡ピカデリー

10月26日で閉館する盛岡ピカデリー

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 10月26日に閉館する老舗映画館「盛岡ピカデリー」(中央通1)で3日、「56年ありがとう上映」が始まった。

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 同館は1969(昭和44)年に開館。市内中心部で映画館が立ち並ぶ「映画館通り」の玄関口に位置し、176席を備える。2009(平成21)年には老朽化を理由に一度閉館したが、映画「おくりびと」が米アカデミー賞外国語映画賞を受賞して大ヒットした影響を受け、同館でも上映するために再開館した。

 同館を運営する「南部興行」の社長・小暮信人さんは、1994(平成6)年に亡くなった父の重信さんから同社を引き継いだ。その前は「松竹」に勤めている。「映画と映画館と共に過ごしてきて、映画館通りを守りたいという思いで父から引き継いだ」と小暮さん。「若い頃、お盆と年末年始は盛岡に帰ってきてピカデリーのチケットボックスを手伝っていた。冬は隙間から風が入って来て寒くて大変だった」と思い出を話す。

 今回の閉館のきっかけは、同館が入居するビルの大規模改修工事の影響により、長期間映画上映ができなくなることだという。加えて、市内でのシネコンの台頭や新たな設備投資の難しさも理由に挙げる。9月22日に閉館を発表すると、映画ファンなど多くの人から悲しさや寂しさを伝える声が届いたという。

 小暮さんは「老兵は去るのみ、というところ。映画館通りの入り口としての盛岡ピカデリーはなくなっても、映画館通りには盛岡ルミエールと中央映画劇場がある。映画館通りから少し歩けばフォーラム盛岡もあるし、新しい映画館もできる。映画の街・盛岡としての文化はまだ続いていく」と期待を寄せる。

 56年間の感謝を込めて始めた「ありがとう上映」。9日までは「あの名作を映画館でもう一度!」と題し、「グラン・ブルー 完全版」「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」「ロボットドリームズ」を、10日~16日には、これまでも多くの仮面ライダー作品を上映してきた同館ならではの「仮面ライダー祭」として2作品、17日~26日は盛岡で撮影が行われた「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」「終わった人」を上映する。

 「盛岡ピカデリーが好きだと言ってくれる人が多いのがうれしい。父が作り、自分がつないできた映画館の雰囲気が皆さんに伝わっていると感じる」と小暮さん。「ここで上映した映画の思い出や、一緒に見に来た人の思い出がずっと生きている。56年続いてきたのも、映画ファンとピカデリーを愛する人がいるからこそ。皆さんに感謝を伝えたい」と呼びかける。

 上映作品と上映スケジュールはウェブサイトに掲載する。

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