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ヘラルボニーがカンヌ広告賞受賞を報告 「ほんとうのさいわい」を目指して

達増県知事とヘラルボニーの松田文登共同代表と兄の翔太さん

達増県知事とヘラルボニーの松田文登共同代表と兄の翔太さん

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 障害のある作家のアート作品のライセンス管理など手がける「ヘラルボニー」(盛岡市開運橋通)が6月25日、国際広告賞「カンヌライオンズアワード」で受賞したことを報告するため、岩手県庁を訪れた。

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 「カンヌライオンズアワード」は、フランス・カンヌで毎年開催されている、広告・マーケティング業界の国際賞で、世界三大広告賞の一つとしても知られる。同社は、文化や社会に変化をもたらし、世界にポジティブな影響を与える創造性をたたえる「グラス部門」で最高賞に次ぐゴールドを受賞。障害のある人が作家として活躍する機会を生み出し、その作品を大企業などと連携して発信するといった事業体そのものが評価を受けた。

 25日は同社共同代表の松田文登さんのほか、「ヘラルボニー」という名称を生んだ自閉症の兄・翔太さんと両親の4人で県庁を訪問し、達増拓也知事に受賞の報告とカンヌでのプレゼンテーションの様子などを伝えた。

 翔太さんが「カンヌライオンズでゴールドを取りました。ありがとうございました」と達増知事に報告した後、文登さんが「兄がヘラルボニーの真の創業者だ」と紹介。「ヘラルボニーの思想が世界に届いたことはうれしく、その広まりも実感しているが、兄が豊かに暮らしていくための社会を実現したいという思いがヘラルボニーの始まりであり、岩手が原点。岩手での共生社会の実現を目指し、これからも県民の皆さんと歩みを共にし、岩手から異彩を放ち続けたい」と話した。

 達増知事はライオンがガラスを破っているようなトロフィーの形について触れ、「まさに透明なバリアを打ち破った。岩手から受賞してくれてありがとう」と感謝を伝えた。「世界の並み居る有名企業と同じ舞台に立ち、受賞したことが素晴らしい。同時に家族が原点であり、そこから地域とのコミュニケーションへ広がり、世界へ羽ばたいたと感じる」と同社をたたえた。

 訪問後のインタビューで文登さんは、宮沢賢治の作品に出てくる言葉を例に挙げ、「『ほんとうのさいわい』とは何なのかを考えるため、これからも歩みを進めていく。今回のような受賞は、多様な人が世界に知られ、生きやすい社会をつくるための道筋になる。世界に認められた企業の一つとして、これからも岩手から発信を続けたい」と話した。

 トロフィーは6月28日から、「ヘラルボニー」の旗艦店「HERALBONY ISAI PARK」(菜園1)で展示する。8月4日まで。

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