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岩手県立博物館でテーマ展「驚異の部屋」 「なんだこれ」から興味につなげて

「驚異の部屋」をモチーフに、複数部門の資料を1カ所に並べたコーナー

「驚異の部屋」をモチーフに、複数部門の資料を1カ所に並べたコーナー

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 岩手県立博物館(盛岡市上田)で現在、テーマ展「驚異の部屋~博物館の珍品・お宝大集合~」が開催されている。

さまざまな理由で「ヤバい資料」が並ぶショーケース。幽霊の絵や毒薬なども

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 同館は約37万点の資料を収蔵しているが、常設展示しているのは約2000点だという。同展ではこれまであまり展示されていなかった資料を中心に、珍しい品や高価な品などを紹介。一部の資料については「なぜ展示できないのか」という理由にも触れる。

 展覧会のタイトルになっている「驚異の部屋」は、16~18世紀のヨーロッパで流行した美術品や貴重品を大量に陳列した展示室のこと。ドイツ語で「ブンダーカンマー」と呼ばれ、博物館の原型ともいわれている。今回は「驚異の部屋」をモチーフに、普段は分類ごとに収蔵・展示されている資料をジャンル問わず同時に並べる手法で展示する。

 担当学芸員の近藤良子さんは民俗部門が専門。「博物館の学芸員といっても、自分の専門部門以外の資料はどんなものがあるのか実はあまり詳しく知らない。テーマ展の企画を思い付き、学芸員の皆さんに相談しにいくと『なんでこれがここにあるの?』『なんでそれ展示してないの』と驚く資料がたくさん出てきた。来館者の皆さんにも同じ驚きや『なんだこれ?』と不思議な気持ちを感じてもらいたい」と話す。

 展示は4章構成。1章は「驚異の部屋」と題し、複数の部門の資料を集めて紹介するショーケースを用意。一つ一つの資料には解説文は添えず、ケース全体の解説書を作って詳しく紹介する。1章のショーケースには昆虫標本やジャイアントパンダのふん、古い電話機、動物の毛皮、トルコ石、調査のために使う骨標本などが並ぶ。2章は「高額な部屋」で、象牙や真珠、宝石、小判といった宝物のイメージがある資料、よろいやかぶとなど購入に費用がかかった資料などを紹介。高価な資料の一つである刀は重要文化財、県指定文化財のため、資料保護の観点から常設展示室の古美術コーナーに展示している。

 3章は「蒐集(しゅうしゅう)の部屋」。個人から寄贈されたさまざまなコレクションを紹介する。4章は「危険な部屋」で、毒を持つものや武器など危険な資料を展示する。4章でも複数部門の資料を一堂に集めたショーケースを用意。幽霊の絵、武器、オオカミの駆除に使われた毒薬、昔の薬、呪術の道具、毒がある植物や生物の標本などさまざまな理由で「ヤバい資料」を2つのケースに展示し、解説書では「ヤバい理由」も紹介している。

 展示のエピローグは「プライスレスな資料」として、資料を守るために使う道具や博物館で働く職員と学芸員を紹介する。

 近藤さんは「『こんなものもありますよ』という県博が持つポテンシャルを感じてもらえれば。ジャンルを問わずに並べた資料の中から、興味のある分野が見つかったら、常設展示もじっくり見てもらいたい。驚きや好奇心を持って楽しんで」と呼びかける。

 開館時間は9時30分~16時30分(最終入館は16時)。入館料は一般=350円、学生=160円、高校生以下無料。月曜休館(休日の場合は翌平日)。5月18日まで。

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