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盛岡ユースセンターが移転へ これから先の安心できる学びの場を見据えて

子どもたちが描いたイラストなどで飾り付けられた現在のセンター入り口

子どもたちが描いたイラストなどで飾り付けられた現在のセンター入り口

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 フリースクールを運営する認定NPO法人「盛岡ユースセンター」(盛岡市大通3)が現在、新たな施設への移転に向けたプロジェクトを進めている。

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 同法人は2010(平成22)年に設立。岩手県内で初めてのフリースクールとして活動を始めた。通信制高校サポートコース、高卒認定資格サポートコース、小中学生対象フリースクールの3つのコースで小学生から高校年代の生徒を受け入れ、生徒数は毎年増加傾向にある。現在は54人が登録し、1日20人前後が市内大通りにある教室に通っている。

 文部科学省の調査では、不登校の小中学生が2023年度は34万人を超え、過去最多になった。センター長の尾形岳彦さんは「いじめや人間関係、健康状態、勉強に対する苦手意識など不登校の背景にはさまざまな要因がある。その全てを学校が抱えることはないと考えている。フリースクールと学校が互いに連携して、学校以外の場所でも子どもたちが自分らしく過ごせる良い環境をつくりたい」と話す。

 そのための課題として同法人が抱えているのが、現在活動しているビルの老朽化。特に雨漏りによって活動を制限されることが多く、昨年は大雨の影響も大きかった。冬場も雪が積もると雪解け水によって雨漏りと同じような状態になることが懸念されている。教室に通う子どもたちが「怖い」と話すことも度々あるという。

 そこで、子どもたちがより安全に安心して過ごせる場を作ろうと新たな施設への移転を決定。春ごろの移転に向けて候補先の選定や備品の買い替えなど計画を進めている。その一環として現在、オンライン寄付プラットフォーム「Syncable(シンカブル)」を利用したクラウドファンディングと銀行振り込みなどによる寄付を受け付けている。目標金額は合わせて300万円で、集まった寄付金は候補先の物件にはない炊事場を整備するための工事費や新しい備品の購入費、引越し費用などに充てる。移転の計画を発表すると、卒業生が応援のために教室を訪れることもあったという。

 「子どもたちや保護者が教育サービスにアクセスしやすい環境を整えたい」と尾形さん。今後はフリースクールや利用家庭への公的な支援の制度化にも取り組む予定だという。「新しい場所に移っても、今と変わらずに子どもたちが持つ『その子らしさ』を大切に、興味関心を伸ばし、挑戦心を育むサポートをしていく。子どもたちの居場所としてあり続けられるように持続可能な仕組みもつくっていければ」と話す。

 クラウドファンディングの受け付けは2月28日まで。

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