食物連鎖の上位にいる生物が何を食べるかをテーマにした企画展「捕食者の献立」が現在、岩手県立博物館(盛岡市上田)で開催されている。
展示機会が少ないホッキョクグマの剥製。海鳥とシャチのエリアも
同館では生物に関する資料を数多く収蔵し、テーマ展や企画展の内容に合わせて展示を行っているが、種類によっては展示機会が少ない資料もあるという。今回はクマやオオカミ、イヌワシ、シャチなど食物連鎖の上位にいる動物の食事について紹介しながら、同館の豊富なコレクションについて知ってもらおうと企画した。
展示資料は、剥製や標本など195点。「展示しているのは収蔵している物の3分の1くらい」と担当学芸員の高橋雅雄さん。「食物連鎖の頂点にいる生物は普段の暮らしではなかなか出会えない。ここには剥製があるので生物たちの姿を間近で見てもらいながら、食べる物が変われば、行動や暮らし方も変わることを体感してもらいたい」と話す。
展示は6章構成で、肉食獣、猛禽(もうきん)類、フクロウ類、ヘビ類、海鳥、鯨類・鮫(さめ)類の6つのグループに分けて88種類の生き物と何を食べているかを紹介。解説文をできるだけ短くし、一目見て分かるように工夫した。高橋さんは「猛禽類は見た目が似ていても食べる物が違ったり、海鳥は水中に潜るかどうかで体の形が違ったりする。解説分には載せていないが、そういった違いも実物を見て比べてみてほしい」と話す。
展示室の中央にはオオカミとその食べ物である二ホンジカやイノシシのほか、ヒグマ、ツキノワグマ、ホッキョクグマのは剥製が並び、来館者の注目を集める。「特にホッキョクグマの剥製はなかなか展示する機会がない」と高橋さん。「ツキノワグマもヒグマも基本的には草食中心の雑食。ホッキョクグマは肉食でアザラシなどを食べ、口が大きくて牙も長い。ツキノワグマは口元が小さくて、ヒグマはツキノワグマとホッキョクグマの中間のような顔つきをしているので観察してみて」と話す。
展示の最後にはおまけのコーナーとして「学芸員の献立」も紹介。高橋さんのほか、同館の学芸員や職員が食べた物の写真を展示している。高橋さんは「自然界を生きる捕食者たちは生息地にある物を食べ、季節ごとに食べ物を変えることもある。人間はいつでも何でも食べるので、どの捕食者よりも貪欲かもしれない。何を食べるかで生き方も変わる。生物たちの姿と献立から、彼らの生き方を感じてほしい」と呼びかける。
開館時間は9時30分~16時30分(入館は16時まで)。入館料は、一般=330円、学生=150円、高校生以下無料。月曜休館(休日の場合は翌平日)。12月1日まで。