「チャグチャグ馬コ(うまっこ)保存会」が現在、伝統行事「チャグチャグ馬コ」の保存継承を目的としたプロジェクトを立ち上げ、支援を募っている。
チャグチャグ馬コは、華やかな装束を身に着けた農用馬が、滝沢市の鬼越蒼前(おにこしそうぜん)神社から盛岡市の盛岡八幡宮までの約14キロを行進する行事。農用場の勤労への感謝の気持ちを込め、無病息災を願い、鬼越蒼前神社を参詣していた文化がルーツになっている。保存会は、戦後、同行事の復活と振興のために結成した団体で、現在は盛岡市・滝沢市・矢巾町の3市町で構成し、盛岡市長が会長、滝沢市長と矢巾町長が副会長を務めている。
滝沢から盛岡へ行進するようになったのが1930(昭和5)年からで、ピーク時の1990(平成2)年には装束をまとって参加する「装束馬」が102頭いたが、年々減少傾向にあり、昨年は55頭だった。頭数が減少する背景には、飼育にかかる負担や馬を扱う技術と装束を作る技術の継承といった課題が挙げられている。現在は、チャグチャグ馬コ保存会のほか、行進行事の参加者で構成する「南部盛岡チャグチャグ馬コ同好会」や、各自治体などが伝統行事の保存と継承に向けた取り組みを行っている。
今回のプロジェクトでは、行事に参加する馬主や、「南部盛岡チャグチャグ馬コ同好会」による技術継承・農用馬の活用への支援を目的に、クラウドファンディングを通じて支援金を募る。集まった支援金は行事に馬主への奨励金や、新たに農用場を飼う人への資金援助などに使う予定。返礼品としては、チャグチャグ馬コのイラストを使ったTシャツや、装束作りの体験キット、行事に参加する権利などを用意する。
チャグチャグ馬コ保存会は1月25日にウェブサイトも開設。これまでは、保存会を構成する3市町がそれぞれ情報発信を行ってきたが、チャグチャグ馬コの歴史や行進行事についてなどの情報を広く、分かりやすく発信しようと新たに立ち上げた。掲載コンテンツは順次公開していく。
同保存会事務局を務める盛岡市観光課の担当者は「人と馬が共に暮らす文化が変わり、今は農業に馬が用いられることはなく、行事のために馬を育てているという人も多い。チャグチャグ馬コを絶やさず続けることが、行事に携わる全ての人の願い。参加頭数の減少を止め、維持していくことが必要になっている。行事を見に来てもらうこと、知ってもらうことも一つの支援。クラウドファンディングやウェブサイトを通じて、興味を持ってもらえるとうれしい」と話す。
クラウドファンディングは2月29日まで。