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盛岡の就労支援施設が「カフェ ルポン」 失語症を知り、学ぶ架け橋にも

落ち着いた雰囲気の店内。カウンターには就労支援施設の利用者が立つこともあるという

落ち着いた雰囲気の店内。カウンターには就労支援施設の利用者が立つこともあるという

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 失語症者向けの就労継続支援B型施設「就労サポート 言葉のかけ橋」が11月18日、「カフェ ルポン」(盛岡市中ノ橋通1)を開店した。

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 「就労サポート 言葉のかけ橋」は、言語リハビリに特化したデイサービス「デイサービス 言葉のかけ橋」に併設する形で今年9月に開所。失語症は脳卒中や脳外傷などの後遺症として起こる言葉の障がいで、意識や判断力は病前のまま、聞くことや話すこと、読み書きといった言葉に関することができなくなる。リハビリによって回復も見込めるが、思うようにコミュニケーションが取れないことで、会話や交流の機会が減り、社会参加へ難しさを感じる人も多いという。

 就労継続支援施設を開くきっかけには、若い世代で言葉の障がいを抱える人や、働きたいと考える人、社会参加を目指したい人を後押ししたいという思いがある。代表の佐藤誠一さんは「言葉を失ってしまうことで、誰かと話すことが難しくなり、家に閉じこもってしまう人や、仕事への復帰を諦める人も少なくない。サポートする場を作り、一人一人に合った役割を持ってもらうことで、社会参加を目指してもらえれば」と話す。

 「就労サポート 言葉のかけ橋」では、デイサービスで提供する食事作りや菓子作り、コーヒー豆の選別と梱包(こんぽう)などの作業を行う。その一環として、カフェルポンを開いた。自家焙煎(ばいせん)のオリジナルブレンドコーヒー(400円)のほか、マフィンやカヌレなどの手作り焼き菓子(160円~)を提供している。今後は利用者の希望に合わせて、言葉の障がいを抱える人やコミュニケーションに困難のある人がスタッフになることも目標としている。

 開店後は近隣住民やSNSを見た人が訪れ、特に焼き菓子が好評だという。「コーヒーも焼き菓子も研究を重ねている」と佐藤さん。店を訪れた女性は「コーヒーもお菓子も専門店のような味わいでおいしい。店の雰囲気も良く、落ち着いて過ごせる」と笑顔を見せる。

 同施設では、失語症がある人の支援者育成にも関わる。カフェルポンも、失語症がある人が訪れる場所や、失語症を知ってもらう場所としての運営を目指す。佐藤さんは「このカフェが『社会の架け橋』になってほしい。言葉の障がいを抱える人が働いている場所であれば、同じ障がいのある人も利用しやすく、自分も働いてみたいと考えるきっかけになるかもしれない。言葉の障がいは目には見えない。知ってもらうことで、理解者や支援者も増やしたい。何よりもまずは、おいしいコーヒーと焼き菓子を味わいに気軽に立ち寄ってもらいたい」と呼びかける。

 営業日時は火曜・木曜=11時~16時、土曜=11時~17時。

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